高崎商科大学短期大学部が実施した模擬ブライダルプロジェクト
2025年10月17日、群馬県高崎市の結婚式場で、視覚障がい者に寄り添ったユニバーサル・ウエディングが実現しました。この取り組みは、高崎商科大学短期大学部の1年生14名による「模擬ブライダルプロジェクト」の一環として行われました。プロジェクトの指導を務めたのは、同大学の森川幸紀雄教授です。彼のガイドのもと、学生達は新たな形の結婚式を企画しました。
このプロジェクトは、過去9年間にわたり続けられてきたもので、これまでに車椅子利用者や手話を取り入れたブライダルが実施されてきました。今年度のテーマは、視覚障がい者の富田安紀子さん(26歳)を新婦役に迎え、視覚障がい者が安心して参加できる挙式・披露宴の実現でした。富田さんはファッションモデルや和太鼓奏者としても活躍しており、その経験を活かしたユニークな結婚式の中で、参加者全員が楽しめるよう配慮されました。
ユニバーサル・ウエディングの実現に向けて
模擬ブライダルプロジェクトに参加した学生たちは、事前にブラインドウォーク体験を通じて視覚情報が得られない状態について理解を深めました。この経験は、視覚障がい者に対する配慮や声掛けがどのように不安を軽減できるかを考える良い機会となりました。本番では、視覚障がいがある新婦に対して多くの情報を声で伝える工夫がなされ、階段や段差など見えづらい場所での丁寧な誘導や、余興映像の視認性向上が図られました。
さらに、特殊な点字ソフトを活用し、会場のレイアウトや席次表を点字化したことで、より多くの人々が安心して参加できる環境が整えられました。バリアフリーを重視したこの取り組みは、視覚障がい者に限らず、すべての参加者が共に楽しむことができる結婚式を目指しています。
学生たちの挑戦と各業務の専門性
このプロジェクトでは、学生達はそれぞれキャプテン、アテンダー、司会者、音響・照明担当、ドレス・ヘアメイク担当、フラワーアレンジメント担当、カメラ撮影担当といった役割を持ち、協力し合いながら一つのブライダルを作り上げていきました。現役のプランナーからの直接指導も受けながら、実際の挙式・披露宴に近い形で運営されるため、学生たちは専門的なスキルと知識を培う良い機会となりました。彼らの協働を通し、多様な価値観や文化に対する理解を深め人材育成にも寄与しています。
模擬ブライダルプロジェクトの意義
模擬ブライダルプロジェクトは、学生が主体的に新郎新婦の人物像や背景設定を創り上げ、約6ヶ月をかけて結婚式全般を一から構築する学びの場です。最新のブライダルスタイルを取り入れ、問題解決型学習(PBL)の手法を用いて実務レベルのスキルを身につけることを目指しています。2024年度からは「キャリアサプリメント科目」として開講され、ウエディングプランナーを志望する学生はもちろん、企画、接客、映像制作、イベント運営など、様々な業界に興味を持つ学生が集う場となっていきます。
高崎商科大学短期大学部は、実践的な学びを通じて学生たちの将来に貴重な経験を与え、キャリアの可能性を広げる役割を果たしています。独自の教育方針のもと、多様性を重んじた社会の実現に向けた一歩を踏み出した模擬ブライダルプロジェクトは、今後の展開が非常に楽しみです。