大麻と脳の免疫細胞
2023-10-28 08:35:14
大麻が脳の免疫細胞に及ぼす影響と若年層への警鐘
大麻が脳の免疫細胞に与える影響
近年、国際的に大麻の利用が広がる一方で、日本国内ではその使用が社会問題化しています。特に若者において大麻の使用が増加しており、脳機能に与える影響が懸念されています。そこで、米ジョンズホプキンス大学の研究チームが声明を発表し、大麻の主要成分であるTHC(D-9-テトラヒドロカンナビノール)が脳内の免疫細胞、特にミクログリアに及ぼす影響を明らかにしました。
大麻と脳の関係
大麻には向精神作用のある成分が含まれ、その中でもTHCは非常に重要な役割を果たします。最近の報告では、THCの濃度が年々増加しており、これが若年者の認知機能に影響を及ぼす可能性があるとされています。また、脳には神経細胞に加え、グリア細胞と呼ばれる非神経細胞も存在し、脳内環境を維持する役割を果たしています。しかし、大麻の影響についての研究は主に神経細胞に焦点を当てており、グリア細胞の研究は不足しています。
研究の目的と方法
神谷篤教授をはじめとする研究チームは、正常なマウスと精神疾患遺伝リスクを持つマウスモデルを対象に、大麻暴露の影響を調査しました。与えられたTHCは、思春期のマウスに慢性的に投与され、その結果、ミクログリアの数が減少し、生理的変化が観察されました。このことから、THCが脳内の免疫細胞にも影響を与える可能性があることが示唆されました。
ミクログリアの変化とその影響
この研究では、THCの投与によってミクログリアの機能が変化し、最終的には内側前頭前皮質における認知機能に関与する神経細胞の活性が低下することが明らかになりました。特に、社会性記憶に影響を及ぼす障害が観察され、THC暴露が神経発達に深刻な悪影響を及ぼすことが確認されたのです。これは大麻の使用が若者の脳に直接的な影響を与えることを示す重要な証拠となります。
社会的な意義と今後の課題
大麻の合法化が進む中で、若者の大麻使用は急増しており、これが脳の発達に与えるリスクが高まっています。特に思春期における大麻の使用は、精神的な健康に深刻な問題を引き起こす可能性があります。研究チームは、今後も大麻の影響を引き続き研究し、その結果をもとに若者に対する教育や啓発活動を強化していく必要があると述べています。このような研究成果は、大麻の暴露が持つ潜在的な危険には警鐘を鳴らしていると言えるでしょ。
参考論文
今回の研究成果は、英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に掲載され、今後の大麻に関する研究や政策形成において重要なデータを提供することが期待されています。
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Johns Hopkins University
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