新型コロナ試薬の革新
2021-05-19 10:00:08
即時リアルタイムPCR検査を実現した新型コロナウイルス用試薬の開発
新型コロナウイルス用即時PCR試薬の新たな可能性
大阪大学が発起人となった医療ベンチャー、株式会社アイキャット(iCAT)が、バイオメディカルサイエンス研究会(BMSA)との共同努力により、新型コロナウイルスに対するリアルタイムPCR検査用の新しい試薬を開発しました。この試薬の最大の特徴は、唾液サンプルを使用し、測定結果を20分未満で得られる点です。
1. 開発の背景と経緯
この革新的な試薬は、2021年3月にアイキャットとBMSAが研究用試薬の共同開発で提携を結んだことから始まりました。最初に開発されたのは、RT-qPCR試薬「iCAT DIRECT MasterMix(アイキャット ダイレクト マスターミックス)』であり、この製品は特に「ダイレクト」と名付けられているように、事前の熱処理や前処理液が不要です。
こうした特性により、専門的な技術者でなくとも簡単に操作が可能となり、一般の研究者や医療従事者にも扱いやすい試薬を実現しました。単回使用のパッケージにすることで、前処理にかかる時間や手間を根本的に排除。また、検査者が自分で分注したり、小分けしたりする必要がないため、全体の検査時間が大幅に短縮され、使い勝手も向上しています。
2. 社会的意義と今後の展望
COVID-19の影響を受け、多くの人々がPCR検査の重要性を再認識しています。しかし、検査にかかる時間や手間がネックとなり、もっと簡単で迅速な解決策が求められています。アイキャットは、リアルタイムPCRが「必要な時に、その場で簡便、迅速、高精度な検査」を可能にすることを目指しています。コロナウイルスに限らず、未来に出現する未知の感染症対策においても、この試薬の価値は大きいと言えるでしょう。
今後アイキャットは、歯周病など特定の社会課題に応じた試薬の開発を進めていく予定です。また、現在この試薬は研究用途に限定されていますが、将来的には体外診断用医薬品としての承認取得を目指し、商業化も視野に入れています。
3. アイキャットとBMSAの役割
アイキャットは、2003年に大阪大学歯学部の研究成果を基に設立された大学発のベンチャーで、特に歯科医療や感染症に関する高度な技術と知識を有しています。具体的には、歯科インプラント手術支援システムや高画質歯科用CT装置など、先進的な医療機器を開発してきました。
一方のBMSAは、1987年に設立された団体で、予防医学とバイオセーフティ技術を基盤に、感染症および公衆衛生分野での社会的支援を展開しています。つまり、この2社が共同で行う研究は、これまでの豊かな経験を基にしたものであり、今後の展開が非常に楽しみです。
結論
新型コロナウイルスへの対応として、即時リアルタイムPCR検査が選ばれる日が近づいています。このような革新は、単に時間を短縮するだけでなく、分かりやすく、より多くの人々が感染症対策に参加できる機会を提供します。アイキャットとBMSAの取り組みにより、多くの人が健康で安全な生活を送るための手助けとなることでしょう。
会社情報
- 会社名
-
株式会社アイキャット
- 住所
- 大阪府大阪市淀川区西中島3-19-15第3三ツ矢ビル3F
- 電話番号
-
06-6886-7299