『小さな暮らしと、大きな世界』シリーズの第2巻である『お薬をあげながら、ママがふと考えたこと』が発刊されます。著者は、元日本航空のキャビンアテンダントであり、保育士・幼児教育研究家としての豊富な経験を持つ平川裕貴。彼女のエッセイは、子どもが病気の時に直面する母の心情や葛藤を静かに、しかし力強く描写しています。
病気によって夜泣きする子どもを抱える母。心の中には、「代わってあげたい」という切なる願いが湧き起こります。平川さんは、そんな思いを持つすべてのママに共感できるエッセイを通じて、育児のリアルな一面を伝えます。子どもの体調が悪い日には、そばにいることでどれだけの安心感を与えられるのか、という知恵と愛情が込められています。
そのエッセイの中には、耳を傾けやすい日常的なエピソードが詰まっています。第1章では、熱を出した子どもに冷たいタオルを当てる簡単な行為が実は大きな支えに繋がるという“ケアの力”について触れられています。日々の何気ない瞬間が、どれだけ重要であるかを再確認させてくれます。
また、第2章には、子どもが「おくすりイヤ〜!」と叫ぶ中でのママとの葛藤が描かれ、日常の小さな戦いをユーモアを交えて表現しています。薬の味が子どもにとって恐怖だったり、受け入れたくなかったりすることも、母親の優しい言葉とサポートによって新たな意味を持つことに気づかされます。
第3章では「痛いの、かわってあげたい」と願う母の思い。しかし、実際には代わってあげられないからこそ、できること、気持ちをどうやって形にするのかがテーマです。痛みを一緒に分かち合うことが、親子の絆を深めていくのです。
さらに第4章では、病気になることで視界が狭くなることについて言及し、静かな時間から見つけられる温かさについて語られています。日常を大切にし、その中に潜む愛情の大きさを感じることができます。
そして忘れてはならないのが、第5章で語られる「元気って、当たり前ではなかったんだ」というタイトルです。子どもが回復する瞬間の奇跡を描きながら、健康の価値を再認識し、感謝の気持ちを育むことができます。
最後に、第6章では薬が持つ魔法ではないけれど希望かもしれないというメッセージが込められています。一人の子どもを育てる中で、どれだけの願いと人の温もりが込められているのか。母親の心からの思いが、しっかりとしたメッセージとして読者に響きます。
平川裕貴の『小さな暮らしと、大きな世界』は、親に寄り添い、共感と勇気を与えてくれる一冊です。子どもを育てるあなたにもぜひ手に取っていただきたいエッセイ集。心がほっこりする日々のつづりをお楽しみください。