新刊『新版サードカルチャーキッズ国際移動する子どもたち』が発売
2023年6月26日、スリーエーネットワークから待望の新刊『新版サードカルチャーキッズ国際移動する子どもたち』が登場しました。この本は、2010年に発行された『サードカルチャーキッズ 多文化の間で生きる子どもたち』の改訂版であり、原著「THIRD CULTURE KIDS: Growing Up Among Worlds」の第3版に基づくものです。新たに「クロスカルチャーキッズ」に関する内容も追加され、より包括的な視点から国際移動に伴う子どもたちの経験を掘り下げています。
サードカルチャーキッズとは?
サードカルチャーキッズ(TCK)とは、国際的な移動を繰り返しながら成長した子どもたちのことを指します。彼らは異なる文化や国の影響を受け独自の経験を重ねています。しかし、その生活は一筋縄では行かず、時にはアイデンティティの葛藤や文化の「間」にいることによる不安感も伴います。
一方、クロスカルチャーキッズ(CCK)は、グローバル化が進む現代において、TCKの枠に収まらない新しい世代の子どもたちです。多文化の中で育ちながら、その影響を受けつつも独自の文化的アイデンティティを育てている彼らに焦点を当てています。
嘉納もも先生のコラム
この新刊には、訳者の一人である嘉納もも先生によるコラム『「帰国子女」と「サードカルチャーキッズ」』も収載されています。そこでTCKと海外帰国子女の違いを論じ、TCKをより深く理解するための知見を提供しています。TCKはしばしば「根無し草」とも形容されるような生活感覚を抱えており、本書ではその背景にある問題を詳細に分析し、社会学や心理学、教育の観点から解決策を模索しています。
TCKたちの悩みとその解決策
新刊では、「落ちつかない、根無し草のような生活感覚」を持つTCKの悩みが具体的に取り上げられています。異なる文化の中で育つ子どもたちには、親の文化でもない、居住国の文化でもない「間の文化」に身を置くことで生じるアイデンティティの揺らぎがあります。本書は、同じような体験をする子どもたちへのメッセージを込めています。
「自分だけの苦しみではない」と気づくことができる内容になっており、TCKやその家族、教育関係者にとって必携の一冊と言えるでしょう。
誰に読んでほしいか
この本は、帰国生や海外赴任経験のある親を持つ子どもたちだけではなく、彼らが直面する問題に興味のある方々にも広く読んでほしい内容となっています。特に、教育関係者や帰国生を対象にした教育プログラムに関わる方々には、実践的な参考になることでしょう。
書誌情報
- - 書名: 『新版サードカルチャーキッズ国際移動する子どもたち』
- - 著者: デビッド・C. ポロック、ルース=ヴァン・リーケン、マイケル・V. ポロック
- - 訳者: 嘉納もも、日部八重子、峰松愛子
- - 出版社: スリーエーネットワーク
- - 発売日: 2023年6月26日
- - 価格: 2,420円(税込)
- - ISBN: 978-4-88319-921-1
この新刊が、多文化環境で育つ子どもたちやその家族にとって、より良い未来への架け橋となることを願っています。