Global Vascular社が2.5億円調達し血管治療の革新に挑む

Innovative Vascular Treatment by Global Vascular

近年、血管治療は大きな進歩を遂げており、その中で特に注目されているのがGlobal Vascular株式会社です。彼らはこの度、シードラウンドにおいて2.5億円を調達し、動脈硬化による血管の閉塞や狭窄を改善するための医療機器の開発を加速させています。

未来を見据えた歩み

Global Vascular社は、私たちが当たり前に「歩く」ことができる未来を目指し、特に下肢末梢塞性動脈硬化症や重症虚血に関連する疾患に焦点を当てています。これらの症状は、動脈硬化の進行によって血流が減少し、足の痛みやその後の切断に繋がる深刻な病状です。彼らの提供する「下肢閉塞性動脈疾患用ステントデリバリーシステム」は、この課題に対するソリューションとして期待されています。

HRGとの連携による基礎研究

現在の研究開発は、経営陣が所属するHasebe Research Group、通称HRGとの協力によって進められています。HRGは東海大学医学部と慶應義塾大学理工学部による医工連携の研究グループで、ここで長年培われた知識と技術が、Global Vascular社の製品開発に活かされています。代表取締役の尾藤CEOと前川COOは、共にHRG出身のエキスパートです。

ステント技術の革新

ステントは、血管内部で血流を確保するための医療機器であり、動脈が詰まることで引き起こされる様々な疾患への予防効果が期待されています。しかし、特に膝下の血管は、血流が遅く、ピットエクスパンションでの繰り返しの変形による「生体と人工物との異物反応」が問題視されていました。Global Vascular社では、フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンコーティング（F-DLC）という新材質を使用することで、この問題を克服しました。

開発の進捗と今後の展望

同社が開発中のステントデリバリーシステムは、日本における高度管理医療機器クラスIV、米国におけるクラスIIIに分類される重要な製品です。すでにフィジビリティスタディが完了し、2023年2月には米国FDAへのプレサブミッションも達成しています。

資金調達を通じて、さらなる臨床試験や技術的課題の解決を図り、最終的な製品化を目指しています。これにより、国内外の患者に対して質の高い医療を提供するという目的を達成することが期待されています。