日本語教育が難民の生活を変える
日本に避難してきた難民にとっての日本語教育は、単なる言語スキルの習得を超え、生活の質を大幅に向上させる重要な要素となっています。株式会社WEWORLDが運営するISI日本語学校は、難民支援のための特別奨学生制度を展開し、日本語教育を無償で提供しています。このプログラムは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の後援を受けており、2025年7月時点で76名以上の難民を受け入れています。
調査の背景
この特別奨学生制度は、戦争や迫害により母国を離れた人々に、日本での生活を築くために必要な日本語能力と文化理解の習得を支援しています。2022年から開始されたこのプログラムは、語学の壁を越え、難民が新しい生活を始めるための基盤を提供しています。その一環として行われた最新の調査結果は、日本語教育がどのように彼らの生活を変えているかを明らかにしています。
調査概要と結果
調査は2025年度在校生の中から22名を対象に実施され、さまざまな国籍の難民の声が集まりました。年齢層も20から41歳と幅広く、彼らの学びや日常生活の向上にどのように寄与しているかが確認されました。調査結果では、全員が「日本語学習が日常生活において有用である」と感じており、63.6%が「非常に役立った」、36.4%が「役立った」と回答しています。
日常生活での具体的活用
自由回答からも明らかなように、病院でのやり取りや職場でのコミュニケーション、子どもの学校との連携など、具体的な場面で日本語が役立っていることが示されています。ある難民の方は「病院で自分の症状を説明し、診察を受けることができました。」という感想を寄せており、このような小さな成功体験が、彼らの自信を深めています。
コミュニティの重要性
調査では、学校内外での人間関係の構築にも成功していることが示されました。91%が学校内で、95%が学校外で新たなコミュニティを形成しており、教育の場が単なる学びの場ではなく、心理的な安心感を提供する場所にもなっていることが伺えます。これにより、参加者は社会参加への意欲を高め、孤立感が軽減されています。
参加者の声
多くの参加者が自身の生活の変化を語ります。例えば、ミャンマー出身の女性は「保育園に預けることができなかった私が、今では学校の手紙を日本語で理解できるようになりました。」と語り、パレスチナ出身の女性は「大学進学を目指しています。授業で学んだことで会話力が向上しました。」とモチベーションの向上を感じています。
株式会社WEWORLDの取り組み
WEWORLDの取締役である井上由紀子氏は、「日本語教育が難民の生活基盤を構築し、自立を支援する重要な要素である」と述べています。この調査結果は日本国内外の支援団体との連携の重要性を再確認するものであり、今後も支援の拡大が期待されます。
公益性を持った日本語教育という形で、ISI日本語学校は困難な状況に置かれた人々の未来を切り拓く重要な役割を果たしています。