富士通、サプライヤー12社とCO2排出量データ連携で脱炭素化を推進
富士通株式会社は、グローバルサプライヤー12社と連携し、実データに基づいたCO2排出量データ連携による脱炭素化に向けた取り組みを開始したと発表しました。この取り組みでは、同社のESG経営支援プラットフォーム「ESG Management Platform」を活用し、サプライチェーン全体のCO2排出量の可視化、測定、最適化を進め、企業のESG経営実現を支援します。
具体的な取り組み
今回の取り組みでは、アクトンテクノロジィ株式会社、加賀FEI株式会社、株式会社ネクスティ エレクトロニクスなど、世界各国に拠点を置く12社のグローバルサプライヤーが参加。グローバル標準に準拠した製品ベースのカーボンフットプリント(PCF)算出とデータ連携を実現しました。さらに、世界で初めて、組織ベースのPCF算出とデータ連携を実データを用いて社会実装しました。
データ連携においては、サプライヤーの機密情報漏洩を防ぐため、「ESG Management Platform」のアクセス権限制限機能や、PCFデータのみをAPI接続する非中央集権型のデータ管理モデルを採用。データの透明性と信頼性を確保しています。
サプライチェーン全体の可視化と削減シナリオの立案
サプライチェーンの上流からサプライヤーのCO2排出量を可視化することで、サプライヤーが実施した再生可能エネルギー導入などの削減施策の効果を明確に把握できます。これにより、サプライチェーン全体のCO2排出量削減への貢献度を数値化し、削減シナリオの立案や施策の効果シミュレーションに活用することが可能になります。
高度な経営意思決定支援
富士通は、CO2排出量削減などの非財務データと売上などの財務データを組み合わせた分析を行い、製造業を中心に様々な顧客の高度な経営意思決定を支援。サプライチェーン全体の脱炭素化社会の実現に貢献します。
COP29での報告
本取り組みの成果は、2024年11月16日に開催される国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)のジャパンパビリオン内セミナーで報告される予定です。日本企業の先進的な取り組みとして議論される予定です。
関係者コメント
古河電気工業株式会社執行役員の小神野毅様は、富士通とのデータ連携成功を喜び、バリューチェーン全体のGHG排出量削減に向けた新たな取り組みを進められるとコメント。シュナイダーエレクトリックのSenior Vice President, Sustainable Developmentであるグザビエ・デノリー様は、サプライチェーン全体のCO2排出量ネットゼロ達成に向けた取り組みとして、富士通との協調を歓迎するコメントを発表しました。
取り組みの背景
バリューチェーン全体のCO2排出量削減には、原材料の排出量削減を可視化する算定方法の確立、企業間のデータ連携ルールメイキング、そして社会実装が課題でした。富士通は、World Business Council for Sustainable Development (WBCSD)など関係機関との議論に参画し、グローバルスタンダードに基づくCO2排出量の算出方法論やデータ連携を推進してきました。
「ESG Management Platform」
「ESG Management Platform」は「PACT Methodology」を活用しており、国内の「GreenxDigital コンソーシアムCO2可視化フレームワーク」にも準拠。台湾のInstitute for Information Industry (III)や豪州のEvalue8 Sustainability社のソリューションと相互接続テストに合格し、グローバル標準の技術仕様に準拠したPACT準拠ソリューションとして認定されています。
今後の展望
富士通は、データやAIなどの技術を活用し、サプライチェーンにおけるCO2排出量の可視化と削減施策の実施、そしてそのノウハウを「ESG Management Platform」を通じて顧客や社会に提供していきます。社会課題を起点とした事業モデル「Fujitsu Uvance」のもと、サステナブルなサプライチェーンと世界のカーボンニュートラル実現に貢献していきます。