人的資本評価の現状
2026年6月23日、株式会社IGS(Institution for a Global Society)は『GROW360+』人的資本白書の2025年度版を発表しました。この白書は、29社から集めた7,418名の評価データをもとに分析された結果を纏めたものです。特に注目される点は、管理職と一般社員との間における「影響力の行使」に関する平均スコアの差が、なんと17.3ポイントにも及ぶということです。
1. 重要な5つの知見
この白書は、以下の5つの知見を明らかにしています。
- - 影響力の行使が最大の差: 上級管理職と非管理職の間で最も顕著な差が見られたのは「影響力の行使」であり、このスコア差は17.3ポイント。その後に続く要素として「論理的思考」「課題設定」「誠実さ」が挙げられます。
- - 自己評価と他者評価のズレ: 自分自身の能力について過大評価や過小評価をする傾向が見られます。多くの人が「情熱・宣教力」を実際よりも低く評価していることが指摘されており、タイプによって異なる効果的なフィードバックが必要です。
- - 評価者バイアスの影響: 約44%の評価者がスコアに偏りが見られることがわかりました。評価者の個性がスコアに影響を与えるため、IGSはこの問題を解決するための特許技術を用いています。
- - 人材成長のパターン: 1年間の評価データは、成長型、やや成長型、安定型、伸び悩み型の四つのカテゴリーに分けられます。特に「伸び悩み型」は、適切な介入により変化が期待できることが示されています。
- - 管理職候補リストの偏り: 現在の管理職に近い能力を持つ候補者が選ばれやすいですが、AI時代に必要なリーダー像には必ずしも一致しないことに注意が必要です。
2. 企業への提言
本白書は、企業が持つ人材データに基づいて自己評価を見直し、管理職登用や自己認識の向上を図るきっかけを提供しています。評価バイアスの影響を受けたスコアの変動や、候補者リストの見直しは、企業にとって重要な課題であると考えられます。
3. 専門家の意見
一橋ビジネススクールの小野浩教授は、「人的資本理論に基づき、どのように人材を育成し登用するかが重要だ。そして、この白書はそのための客観的根拠を提供するものである」とコメントしています。人的資本の開示が義務化された現状において、この問題は特に重要です。
4. 利用方法
『GROW360+』人的資本白書2025年度版は、公式サイトから無料でダウンロード可能です。興味がある方はぜひチェックしてみてください。
5. IGSについて
IGSは、人の能力や特性を可視化することを目的としたEdTech/HRTech企業です。特に、非認知能力に焦点を当て、企業や学校向けに評価サービスを提供しています。これまでに蓄積した評価データをもとに、多様な組織との協業を通じて教育領域を変革しています。
会社情報
- - 所在地: 東京都渋谷区恵比寿南1-11-2 4F
- - 設立: 2010年5月
- - 資本金: 90百万円(2026年3月末現在)
この白書は、新しい時代に必要な人材評価の在り方を示す重要な資料となっており、今後の人材育成において大きな影響を与えることでしょう。