新民法施行からの家庭裁判所についての調査
2023年4月、新民法が施行され、共同親権の導入がスタートしました。しかし、家庭裁判所の運用はこれまでと変わらないという実情が、特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミトの調査によって浮き彫りになりました。この調査は、同会が主催する「森ゼミ」のメンバーに対して行われ、結果として新民法の立法趣旨と現実との乖離が明らかになりました。
調査の背景と目的
新民法施行から約4か月が経過した今、当事者の実体験に基づく調査はおそらく民間では初めての試みです。施行後の運用の実態を詳しく知ることは、今後の法改正の方向性を考える上でも重要です。調査は、アンケート、座談会、個別ヒアリング、および判決内容の比較を含む3つの方法で行われました。
調査の内容と結果
調査には、計18名の当事者が参加し、以下のような結果が得られました:
- - 「家裁は変わった」と感じた参加者は6名中1名のみ。
- - 多くのケースで、共同親権の議論がされなかった。
- - 面会交流の拡充も行われず、運用は施行前と変わらない。
- - 弁護士が共同親権を妨げる構造は依然として存在。
- - 一部の裁判官の中には「片親疎外」に理解を示す者もいるが、運用の標準化には繋がっていない。
これらの結果は、施行後に家裁が想定したような効果を発揮していないことを示しています。特に、法務省が説明する調停の効果は実際の運用では確認されず、共同親権の話題すら出ないことが多かったのです。
当事者の声
参加者からは、「共同親権という言葉は一度も出なかった」といった意見や、「調停での葛藤は低減しなかった」という具体的な経験が寄せられています。特に、ある参加者は「裁判官が子どもの意見を重視していない」と感じたと語り、施行後も父母間の協力義務が効果的に適用されていない実情が伺えます。
施行後の判決内容
具体的な判決例も調査されました。Hさんの判決では、調停での葛藤は解消されず、共同親権の議論もなかったことが詳述されていました。このように、施行後の判決においても、父母の協力義務や人格尊重義務が十分に考慮されていない事例が多く見受けられ、裁判所の運用が旧来の慣行を引きずっていることは明らかです。
今後の課題
NPOキミトは、調査結果を基に今後も家庭裁判所の実態調査を続け、国政や関係府省庁への活動を拡充していく方針です。立法趣旨を実現するためには、法改正後の運用改善や裁判官・調停委員・弁護士の理解向上が不可欠です。情勢を見極めつつ、 子どもの利益を最優先した法運用と、社会の規範が改革されることを強く望んでいます。
NPOキミトの活動は、今後も家庭法制度を改革する上で重要な役割を果たしていくでしょう。