国際海事機関が新たに策定したアンモニア船舶の安全基準とIGCコード改正
国際海事機関(IMO)第10回貨物運送小委員会(CCC 10)について
令和6年9月16日から20日まで、国際海事機関(IMO)の第10回貨物運送小委員会が開催されました。この会合では、環境保護と安全性向上に向けた重要な議題が扱われました。主に、アンモニアを燃料とする船舶の安全基準についての合意と、液化ガス運搬に関する国際規則(IGCコード)の改正が承認されました。
アンモニアを燃料とする船舶の安全基準
国際海運業界では温室効果ガスの削減が重要課題として認識されており、その一環としてアンモニアを燃料とする船舶の導入が進められています。この会合では、アンモニア漏洩検知器の閾値や毒性の危険区域についての詳細な議論が行われました。
その結果、安全性を最優先とした上で、アンモニア特有のリスクや特性を考慮した新たなガイドライン案が完成しました。このガイドライン案は、さらに上位の委員会である第109回海上安全委員会に上程される予定です。
IGCコードの改正
液化ガス物質のばら積み運送に関しては、1983年以来、IGCコードによって厳格に規定されています。この規則は、2021年に改正が合意され、以降さまざまな改定議論が行われてきました。今回の会合で、我が国から提案された新しい基準が加えられた改正案が最終的に合意に達しました。
改正案には、通常人が入らない空間の換気要件と、浮体式の液化ガス貯蔵設備に関する基準が新たに設けられています。この改正が承認された後、2028年1月1日から施行される見込みです。
環境への影響
今回の合意は、国際海運業界がますます厳しさを増す環境規制に対応していく上で、重要な一歩です。アンモニア燃料の導入は、航空や陸運など他の交通手段と同様に、地球温暖化対策としての役割も果たします。日本を含む各国の努力により、今後ますます多くの船舶が環境に配慮した運航を行うことが期待されています。
まとめ
国際海事機関の第10回貨物運送小委員会では、アンモニアを燃料とする船舶の安全基準策定とIGCコードの改正案が合意され、今後の承認手続きに進むこととなりました。これにより、国際的な海運業界における安全性と環境保護が一層向上することが期待されます。