ダイヤモンドの表面原子可視化成功
ダイヤモンド、これまでにない究極の半導体とされてきたこの鉱物が、科学界でさらなる注目を浴びています。東京大学大学院新領域創成科学研究科の杉本宜昭教授を中心とした研究チームは、東京大学物性研究所の尾崎泰助教授、そして産業技術総合研究所の小倉政彦主任研究員と連携し、ダイヤモンド表面を原子レベルで可視化する技術の開発に成功しました。この成果は、ダイヤモンド映画やデバイスの性能を向上させるための新たな扉を開くものと期待されています。
究極の半導体、その理由
ダイヤモンドは、その優れた物性から、パワーデバイスや量子デバイスなどの分野での利用が促進されています。特に、その耐熱性や電導性、そして高効率なエネルギー変換能力は、多様なデバイスへの利用を加速させてきました。微細加工技術が進化する現代において、デバイスの小型化が進むと、原子レベルでの欠陥管理がデバイスの性能に重大な影響を及ぼすようになります。そこで、ダイヤモンド表面を原子単位で評価する必要性が高まっているのです。
世界初の原子間力顕微鏡による可視化
本研究において、研究グループは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、ダイヤモンド表面に存在する各炭素原子を初めて視覚化することに成功しました。この技術により、これまで不明だったダイヤモンド薄膜の成長過程や、デバイス性能に関わる微細な欠陥を直接観察することが可能となりました。
この成果は、ダイヤモンド薄膜の成長メカニズム解明に寄与することが期待されるだけでなく、今後のダイヤモンドデバイスの開発においても重要な影響を与えるでしょう。原子レベルでの情報を元にしたデバイス設計が進めば、さらなる技術革新が期待できるのです。
今後の展望
この技術の進展に伴い、ダイヤモンドデバイスの実用化が加速すると考えられます。これまで高コストとされていたダイヤモンドを用いたデバイスは、今後の研究成果により、コストパフォーマンスが向上し、様々な産業での応用が期待されます。また、今後の研究によって新たなデバイスが開発されることは、エネルギー効率や信号処理能力の向上にも寄与することになるでしょう。
このように、東京大学と産業技術総合研究所の共同研究によるダイヤモンドの原子レベルの可視化は、科学技術の新たな進展を促し、未来の半導体技術を革新する可能性を秘めています。
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