環境に優しいジオール類の合成プロセス
国立研究開発法人産業技術総合研究所の触媒化学研究部門は、化粧品などの原料として利用される有用ジオール類の合成プロセスを新たに開発しました。このプロセスは、低環境負荷を実現しつつ、長時間連続して高収率での合成を可能にしています。
触媒の新しい役割
ジオールとは、分子内にヒドロキシ基が2つ含まれる有機化合物のことで、化粧品や医薬品の原料として非常に重要です。これまでは、ジオールの製造方法はその種類ごとに設計され、環境負荷の高い反応原料を必要としたり、反応を2つの段階に分ける必要があったりと、改善の余地が多く存在しました。
今回開発されたプロセスでは、エポキシ化と水和の反応を一気に進行させることができ、エポキシ化から水和までを特徴的なゼオライト触媒を用いて行います。この触媒は、連続的に反応を促進することが可能で、高持続性の収率を維持できるように最適化されました。
環境を配慮した設計
合成プロセスでは、原料としてアルケンを用い、触媒装置に送液するだけでエポキシ化と水和反応が連続して行われます。さらに、過酸化水素の濃度を1%に抑えることで、反応副生成物を水のみとし、環境への負荷を大幅に低減しました。この点が、今回のプロセスの大きな特長です。
1週間以上の連続反応においても、90%を超える高収率を維持することができており、多様なジオール類の合成に成功しています。これにより、化粧品や抗菌剤、さらには医薬品の中間体など、様々な用途に応じた有用な化学品が効率的に製造できる可能性が広がりました。
ジオールに対する需要の増加
ジオールは、炭素原子の数によって様々な種類があり、エチレングリコールのような基礎化学品から、保湿化粧品や抗菌剤の原料となる高付加価値なものまで、幅広く使用されています。特に、炭素数が3以上のジオール類は特に高い需要があります。これに伴い、その製造方法が確立されることの重要性が増しています。
ラボでの研究と社会への貢献
産総研は、連続的かつ高純度な機能性化学品を生産可能な技術の開発を目指しており、本研究はその一環となっています。今後さらに、触媒の高分散化や圧力損失の改善に向けた取り組みを進め、産業界への貢献を目指します。
この技術の詳細は、2026年4月28日に「Advanced Synthesis & Catalysis」に掲載される予定です。
まとめ
開発されたジオール合成プロセスは、化学産業における環境への取り組みを進展させるものと期待されています。化粧品や医薬品の製造が、将来的にはより環境に配慮した方法で行われる日も遠くありません。今後のさらなる技術実用化が待たれます。