次世代農業の突破口、AGRISTの挑戦
持続可能な農業の実現に向け、AGRIST株式会社は自動収穫ロボットの開発を進めています。2023年、宮崎市との共同事業で「きゅうり収穫ロボット導入モデル構築事業」を実施し、その成果を報告しました。特に注目すべきは、収穫率を55%にまで引き上げた点です。これは初期モデルと比べて非常に高い数値であり、技術的な可能性を示すものとなりました。
プロジェクトの背景と主な成果
農業分野では、労働力不足が問題視されています。AGRISTはこの課題を受けて、自動収穫ロボットの開発を行い、それを実用化するための具体的な方法を模索しています。本プロジェクトは、実際の農作物を用いた試験により、収穫ロボットの導入に関する課題を特定し、その解決策を提案することが目的です。
実証実験では、ロボットの自動収穫能力が55%に達したことから、その技術的ポテンシャルが明らかになりました。しかし、作物の成長によって葉が繁茂した際には、視認性が低下することが確認されたため、今後のロボット改良において重要な課題として位置付けられました。
加えて、圃場条件に関する具体的なデータも収集しました。ロボットの稼働に必要な通路幅や温室内の高さなど、実際に運用を行うにあたって不可欠な情報が得られ、今後の実用化に向けた一歩となるでしょう。
実用化に向けた開発ロードマップ
AGRISTは実証事業で得られた知見を基に、次のような改良を進める計画を立てています。
- SNSアプリを活用した通知機能の強化や、アームの動作改善、ハサミのエラー率の低下に努めます。
- 作物認識ルールの見直しやアプローチ数の強化を図ります。また、アームの動作などのさらなる向上も目指します。
- - 次期モデルへの応用:2025年10月末にリリース予定の新型機には、今回の改善を反映します。
特に、視認性の低下という課題への対応は喫緊の課題として取り組んでおり、これを下一歩の成長に繋げたいと考えています。
これらの取り組みを通じて、AGRISTは持続可能な農業を実現するため、農業現場の課題解決に貢献することを目指します。
自動収穫ロボットの概要
- - 重さ:60kg
- - 大きさ:W1,110mm × D760mm × H1,520mm
- - 連続稼働時間:10時間(畝間移動は手動)
- - 収穫能力:きゅうり 0.3本/分
- - その他機能:収穫サイズの設定、スマートフォン通知、過負荷検知による安全停止機能
AGRIST株式会社は、テクノロジーを活用して農業の課題を解決し、持続可能な農業を100年後も実現することを目指しています。今後もこの取り組みには注目が集まることでしょう。