岡山大学が示す新たな安全保障貿易管理の方向性
国立大学法人岡山大学は、2026年に向けた一連の取り組みの中で、特に安全保障貿易管理におけるAIエージェントの導入を進めています。2026年1月22日、大阪合同庁舎にて開催された「令和7年度大学等向け安全保障貿易管理説明会」では、研究・イノベーション共創機構の舩倉隆央副本部長が登壇し、具体的な取り組みとそれに伴う展望について紹介しました。
本説明会は経済産業省の主催により全国の大学や研究機関を対象としており、大学等における安全保障貿易管理体制の強化を目的としています。舩倉副本部長の講演では、特に大学実務の現場において進行中の高まる輸出管理業務の複雑さが強調され、その有効性について提言がありました。
大学の輸出管理業務の現状と課題
近年、大学における海外共同研究や外国人研究者の受け入れが急増しつつあります。これに伴い、貨物や技術の該当性判断が求められる場面が増加しており、これらの業務を遂行する事務職員には高度な専門知識と作業負担がかかっています。舩倉副本部長は、この現状を受けて、AIエージェントの導入が有効な手段であると述べました。
AIエージェントによる業務の効率化
岡山大学では、文部科学省が推進する「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の一環として、「事務職員高度化プロジェクト」を立ち上げています。このプロジェクトでは、安全保障貿易管理業務を支援するAIエージェントツールが開発されています。具体的な機能としては、膨大な貨物・技術リストとの照合作業を自動化し、ヒューマンエラーを防ぐ仕組みが整えられています。
特に、開発中のツールは、リスト規制の該当性判断やキャッチオール規制における用途や需要者に関する懸念事項を自動的に整理・提示する機能を持ち、事務職員の最終判断を助けることを目指しています。舩倉副本部長は、「AIは業務を代替するのではなく、最終判断を下す際の支援ツールである」と強調しました。
大学関係者の関心
講演後には、参加した大学関係者から多くの質問が寄せられました。「あらゆる大学が類似の課題に直面しており、岡山大学の先行事例は参考になる」などの意見が聞かれ、AIを用いた業務の効率化に対する関心が強まっていることが伺えました。
今後の展望
岡山大学は、今後も地域中核・特色ある研究大学強化促進事業を通じ、事務職員の高度化を進める一方、業務の現場で直面している課題に根ざした先進的な取り組みを積極的に発信していく方針です。安全で信頼性の高い研究環境の構築を目指し、大学発のイノベーションの創出に寄与することを誓っています。
今回の取り組みに興味のある大学や研究機関からの問い合わせも歓迎しており、さらなる連携を推進していく意向を示しています。これからも、岡山大学の挑戦に期待が寄せられています。
この取り組みを通じて、岡山大学は国内外における安全保障貿易管理に関連した具体的なイノベーション事例を提供し、新しい時代の大学としての役割を果たすことを目指しています。地域社会に根ざした持続可能な開発や研究の推進に向けて、岡山大学が今後も果たす役割に注目が集まります。