工学院大学、水処理の革新に向けた低ファウリング膜製造技術を開発!減圧・脱酸素操作不要で社会実装へ
浄水処理や下排水処理など、私たちの生活を支える水処理。その中でも重要な役割を担うのが、膜ろ過処理です。しかし、膜は汚れによって性能が低下してしまう(ファウリング)という課題がありました。この問題を解決するため、従来は低ファウリングポリマーを膜の表面と細孔内部にグラフトする手法が用いられてきましたが、減圧操作や脱酸素操作が必要となり、大規模な製造が難しく、社会実装へのハードルとなっていました。
工学院大学の赤松憲樹教授は、この課題を克服する画期的な低ファウリング膜の製造技術を開発しました。赤松教授の開発した技術は、減圧操作や脱酸素操作を必要とせず、膜モジュール内で一括装飾が可能なため、スケールアップが容易です。
従来技術の課題と赤松教授の革新的技術
従来の低ファウリング膜の製造方法では、減圧操作や脱酸素操作が必要でした。これは、膜の表面に低ファウリングポリマーを均一にグラフトするために、真空状態を作り出す必要があったためです。しかし、これらの操作は、大規模な製造設備が必要となり、コストや時間、安全性の面で大きな課題がありました。
赤松教授の開発した技術は、これらの課題を克服し、簡便で効率的な低ファウリング膜の製造を可能にしました。具体的には、以下の特徴があります。
減圧操作不要: 真空状態を作る必要がないため、製造設備が簡素化され、コスト削減と製造時間の短縮に繋がります。
脱酸素操作不要: 空気中の酸素の影響を受けずに、安定した低ファウリング膜を製造できます。
膜モジュール内一括装飾: 膜モジュール内で低ファウリングポリマーのグラフト処理を行うため、製造工程が簡略化され、効率的な製造が可能となります。
社会実装に向けた取り組み
赤松教授は、この革新的な技術を社会実装するために、企業との共同研究を進めています。7月11日には、オンラインで開催されるJST新技術説明会において、最新成果を企業に向けて発表し、技術活用に向けた連携を呼びかけます。
技術の応用範囲
赤松教授が開発した低ファウリング膜は、水処理分野だけでなく、医療分野や食品分野など、様々な分野での応用が期待されています。
医療分野: 血液透析膜や人工臓器など、体液や血液のろ過が必要な医療機器への応用が期待されています。
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食品分野: 飲料水や食品の製造工程におけるろ過、食品の包装材など、食品の安全性や品質管理に役立ちます。
まとめ
工学院大学の赤松憲樹教授が開発した低ファウリング膜の製造技術は、減圧・脱酸素操作が不要で、スケールアップ可能な革新的な技術です。この技術は、水処理分野だけでなく、様々な分野で活用され、社会に貢献すると期待されています。