埼玉県立大学と東陽テクニカが共同研究を開始！サテライトグリア細胞の老化を探る

埼玉県立大学と東陽テクニカによる共同研究

東京都中央区に本社を置く株式会社東陽テクニカは、埼玉県越谷市に所在する埼玉県立大学との共同研究を開始することを発表しました。この共同研究では、サテライトグリア細胞と神経細胞の共培養において、細胞カプセル化試薬「AGM」の活用を評価することを目的にしています。今回の研究は、2025年8月から始まる予定です。

サテライトグリア細胞とは？

サテライトグリア細胞（SGCs）は末梢神経系に存在するグリア細胞の一種であり、神経細胞のサポートや恒常性の維持に重要な役割を果たしています。しかし、加齢に伴いSGCsの機能が低下し、代謝異常や慢性炎症を引き起こす原因となる可能性があります。この研究では、老化したSGCsが神経細胞の脂質代謝に与える影響について調査します。

研究の背景と目的

秋葉原では、老化が進行するSGCsと神経細胞の相互作用についての研究が進められており、この関係性の理解が深化することが期待されています。埼玉県立大学と東陽テクニカは、SGCsの老化が神経細胞の脂質代謝に及ぼす影響を評価するために、「AGM」を用いた共培養の可能性を検証することに注力します。

AGMの特長

「AGM」（アガロースゲル・マイクロカプセル）は、国立研究開発法人理化学研究所の特許技術に基づいて開発されました。この技術を用いることで、動物細胞の3次元培養を実現し、細胞間の相互作用をより生体に近い環境で学ぶことが可能になります。具体的には、接触培養と非接触培養の二つの手法があります。

接触培養では、SGCsと神経細胞を一つのカプセルに包埋することで、生体内の環境に近い条件を維持しながら研究を進めます。一方、非接触培養では、それぞれ別のカプセルに包埋し、多孔性膜を活用して細胞間の因子の相互作用を探ります。

研究の意義と将来展望

この研究は神経科学分野において大きな価値を持ちます。実際、神経科学の市場は2025年までに354億ドルを超えると予想されており、年平均4.1％の成長も見込まれています。東陽テクニカは、この研究を通じて得られた成果を神経科学の進展に役立てると同時に、「AGM」の新たな利用法を広げることを目指しています。

今後は、がん研究や再生医療、感染症研究といった多様な分野への応用も考えられ、特に3次元培養やオルガノイド形成技術との統合によって、さらなる研究開発が期待されます。これにより、医学の発展のみならず、患者への新たな治療法の提供にもつながることでしょう。