大陽日酸、CO2回収装置販売開始
大陽日酸株式会社は、2024年4月より、1日あたり10トン規模の二酸化炭素(CO2)回収装置の販売を開始すると発表しました。これは、政府が掲げる2030年度のCO2削減目標(2013年度比46%減)達成に向けた取り組みの一環です。近年、企業からのCO2回収に関する問い合わせが増加していることを受け、同社はこれまで培ってきたガス分離精製技術を活かし、この装置を開発しました。
装置の特徴と性能
このCO2回収装置は、同社がバイオガス精製や希ガス回収で培ってきたPSA(圧力スイング吸着)技術を応用しています。高濃度(20%以上)のCO2排出源(主に窒素とCO2の混合ガス)から、効率的にCO2を分離・回収します。吸着剤と制御システムの最適化により、電力消費を抑えた効率的な運転を実現しています。
主な特徴として、中小規模の排出源(排出量1000Nm3/hクラス)に対応したユニット化された設計が挙げられます。導入と設置が容易で、顧客のニーズに合わせて仕様変更も可能です。また、CO2の濃縮・回収に特別な加熱を必要としないため、熱源のない排出源からも効率的に高濃度のCO2を得ることができます。回収されたCO2は、炭酸塩などの原料やメタネーション(メタン化)に利用できます。
装置の仕様は以下の通りです。
回収CO2量:10トン/日
回収CO2濃度:98%
原料CO2濃度:30%
装置寸法:14.5m×5.35m×2.75m
カーボンニュートラル社会への貢献
大陽日酸は、このCO2回収装置を、既存のガス供給網と組み合わせることで、CO2の回収から利用までを一貫してサポートする体制を整えます。これにより、顧客企業のCO2削減への取り組みを支援し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく考えです。同社は、長年培ってきたガス・液化CO2製造供給技術と、今回のCO2回収装置を融合させることで、多角的なアプローチによるカーボンニュートラルへの貢献を強化します。
会社概要
大陽日酸株式会社は、産業ガス、医療用ガス、特殊ガスなどを製造・販売する企業です。溶断機器・材料、ガス関連機器、空気分離装置の製造・販売、電子部品の組立・加工・検査、設備メンテナンスなども行っています。
創業:1910年10月30日
設立:2020年2月4日
資本金:15億円
株主:日本酸素ホールディングス株式会社(出資比率100%)
* 売上収益:3,720億円(日本酸素ホールディングス株式会社2022年3月期、日本ガス事業セグメント)
本件に関する問い合わせ先は、大陽日酸株式会社広報部(TEL:03-5788-8015、Mail:
[email protected])です。