量子技術とAIを活用した物流業務効率化の新たな研究推進
2023年11月、BIPROGYと大日本印刷(以下DNP)が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」に選ばれました。このプロジェクトの目的は、量子技術とAIの融合を通じて物流業務の効率化を図ることです。
量子・古典技術の融合による革新
両社は、量子アニーリング技術と古典AI技術の組み合わせによる「量子・古典ハイブリッド技術」で、物流関連の課題解決に取り組んでいます。その具体的なテーマとして、BIPROGYが担当する配送計画の最適化と、DNPが担当する倉庫内のピッキング計画の向上に焦点をあてています。
BIPROGYの研究開発
BIPROGYは、効率的な配送計画を立案するアプリケーションの開発を進行中です。物流業界は、さまざまな制約により、配送計画が頻繁に変更されます。このため、迅速かつ効率的に対処できる能力が求められています。新たに開発するアプリケーションは、燃料の節約やCO2の排出量を削減しつつ、輸送能力不足の問題解決にも寄与することを目指しています。さらに、倉庫管理システムとの連携を強化し、機能拡張も図る計画です。
DNPの取り組み
一方、DNPは配送品のピッキング作業におけるリアルタイム最適化を実現し、従来の計画手法に替わる新しいアプローチを提案しています。実践的なシミュレーションで、移動距離を約29%、すれ違い回数を44%削減し、作業時間を約6.4%短縮する効果が確認されています。今後は自律走行搬送ロボットとの連携を強化し、さらなる作業効率向上を目指します。
今後の展望
BIPROGYとDNPは、本事業によって得られる研究成果をもとに、アプリケーションの実用化を進めていく予定です。生産年齢人口の減少により、物流業界はより一層の効率化が求められています。量子技術の社会実装を進めることで、持続可能な物流環境の構築へ貢献できると期待されています。
現在、このプロジェクトは本格研究フェーズに突入し、2025年4月1日からさらなる研究開発が行われる予定です。両社はそれぞれの専門性を活かし、目指すは物流業界全体の持続可能な未来の実現です。これにより、社会的な課題解決への新たな一歩を踏み出すことができると考えています。
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