ヴァレオ、新たなHVACシステムで中国市場に進出
フランスの大手自動車部品メーカー、ヴァレオが次世代空調システム(HVAC)を中国の大手自動車メーカーに供給する契約を最近締結しました。この契約には、革新的な2層流HVACシステムが含まれており、車内の快適性と環境負荷の低減を同時に実現することを目指しています。
ヴァレオは、これまでにも中国市場で数多くの契約を結んでおり、今回の契約を含めると、彼らが手がけた契約件数は10件に達し、その総額は数億ユーロに上ると言われています。この新プロジェクトはすでに詳細設計の段階に入り、2026年に量産を開始する計画です。
先進的な技術の持つ可能性
HSVACシステムは、自動車内の温度制御や、フロントガラスの曇り止め機能など、乗員の快適性と安全性を高めるために不可欠なものです。ヴァレオの新たなHVACシステムは、2層流の4ゾーンモジュール式設計を採用しており、特に注目すべきはその「チューリップデザイン」です。
このデザインは新鮮な空気をフロントガラスに送り、早急な曇り止めを可能にするだけでなく、足元に暖かい空気を届けることで、素早く快適な環境を提供します。また、AIによる温度制御と風量アルゴリズムを統合し、乗員の位置に基づいて空気の流れと温度を正確に調整できる点も大きな特徴です。これにより、外気温がマイナス15度となる極寒時でも、車内の暖房が最大50%速くなるため、ユーザーにとっての快適性が格段に向上します。
エネルギー効率の向上
さらに、ヴァレオのHVACシステムは、ガソリン車からバッテリーEV、プラグインハイブリッド車まで、さまざまな車両プラットフォームに対応します。特に電動車両においては、低エネルギー消費が求められますが、このシステムはそれに応えることができます。AI駆動の温度や風量の制御アルゴリズムを活用することで、エネルギー使用量を平均15%削減します。特に極寒条件下では、1,000Wの電力削減に相当し、他のHVACユニットと比較した場合、暖房時のエネルギー消費を25%改善できるのです。
ヴァレオのビジョンと今後の展望
ヴァレオは、すべての自動車メーカーや新モビリティプレイヤーと提携し、モビリティをより持続可能、安全、スマートにするために努力を重ねています。革新的技術の導入により、電動化の加速やADASの発展、インテリア体験の再創造を目指し、持続可能な成長を遂げています。
具体的には、2024年のグループ売上は215億ユーロに達すると予想され、109,600人の従業員を擁し、28か国に155の工場、46の研究開発センター、18の物流拠点を展開しています。これにより、ヴァレオはパリ証券取引所にも上場しており、その成長戦略は今後も多くの業界で進展が期待されています。
この革新的なHVACシステムの展開は、ヴァレオの技術力を再確認させるものであり、自動車業界における快適性とエネルギー効率の未来を切り開くものといえるでしょう。