ispaceが成し遂げた円軌道到達
2025年5月28日、日本の宇宙スタートアップ企業である株式会社ispaceが、月面探査に向けた大きな前進を遂げました。彼らはMission 2「SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON」において、予定通りに円軌道到達のための軌道制御マヌーバを実施し、その結果が良好であることを確認しました。
この後は、東京の日本橋に位置するHAKUTO-Rミッション・コントロール・センターで、円軌道上での調整が必要なのかどうかを確認する作業が行われます。この確認作業には数時間から最大数日間かかる見込みで、追加の軌道修正が不要と認められれば、即座にMission 2のマイルストーンSuccess 8の完了を発表する計画です。逆に、調整が必要とされれば追加のマヌーバを実施し、その結果を改めて報告するとのことです。この進展を多くの人々が注視しています。
RESILIENCEランダーの事業背景
ミッション2の根幹をなすRESILIENCEランダーは、2025年1月15日にSpaceX社のFalcon 9により打ち上げられ、その後も様々な挑戦を経てきました。最初の成功は、同日午後4時44分にロケットからの分離でした。その後、地球周回フェーズを経て、2025年2月15日には月面から約8,400㎞の位置に達し、民間企業による商業月着陸船としては初の「月フライバイ」に成功しました。
さらに、RESILIENCEランダーは約110万kmの距離を行くことで、深宇宙の旅を遂げた後、月周回軌道に投入されるマヌーバにも成功を収めています。これは深宇宙探査の未来を示す重要なステップと考えられています。
期待される月面着陸とその影響
今後、ispaceでは2025年6月6日に予定されているミッション2の月面着陸を祝う「着陸応援会」を開催します。日本、米国、ルクセンブルクを含む全拠点の従業員や関係者が参加し、その様子は公式YouTubeチャンネルでライブ配信される予定です。成功すれば、日本初、アジア初の民間月面着陸となります。
このように、ispaceは高頻度かつ低コストの月面輸送サービスを提供するために、様々な技術と経験を積み重ねています。企業ビジョンとして「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続可能な世界へ」という目標を掲げ、次世代の宇宙ビジネスの確立を目指しています。
ispaceの技術と将来の挑戦
株式会社ispaceは、月面探査用のランダーやローバーを開発しながら、商業利用に向けた多様なデータビジネスを展開しています。また、2022年には初のミッション1を成功させたことにより、得られたデータを基にした次の挑戦を進めています。これらの新たな技術は、NASAの「アルテミス計画」など国内外のプロジェクトにも貢献することが期待されています。
結論
今回の円軌道到達のニュースは、ispaceにとって喜ばしい出来事であると同時に、月面探査活動全体に新たな希望を与えるものでした。未来の宇宙ビジネスにおける先駆者として、ispaceの今後の挑戦から目が離せません。