パレスチナのオリーブオイルに込められた思い
2023年12月12日、東京都新宿区にて、パルシステム連合会主催の学習会「パレスチナ問題の歴史的経緯・現状とオリーブ生産者の今」が開催されました。このイベントは、パレスチナがオリーブ原産地であることを背景に、現地のオリーブオイルを取り扱う意義を考える機会でした。参加者たちは、パレスチナの歴史や現在の課題について理解を深めました。
厳しい現状
パレスチナのヨルダン西岸地区は、オリーブオイルの主要な生産地です。しかし、イスラエルの占領政策によって状況は厳しさを増しています。パルシステムでオリーブオイルを輸入する関連会社、株式会社オルター・トレード・ジャパンの広報担当者、小林和夫さんが講師を務め、実情を語りました。
パレスチナでは、ガザ地区の戦闘だけでなく、ヨルダン川西岸地区でもイスラエル軍や入植者による抵抗が続き、多くの命が失われています。報告によれば、1年間で約1000人が命を落とし、8000人以上が強制移住を強いられています。特に、オリーブ農家にとっては厳しい問題が数多くあります。
分離壁と農地の危機
高さ8メートルの分離壁が建設され、パレスチナ人の農地へのアクセスを妨げています。この西岸地区には、およそ700の検問所が設置され、農民の移動が大きく制約されています。そのため、2023年には約4割のオリーブ畑で収穫ができなかったといいます。状況は年々悪化しており、来年も不安が募っています。
オリーブはパレスチナの重要な作物であり、GDPの14%を占める存在です。それは単なる収入源ではなく、地元農家にとってのアイデンティティや文化そのものでもあります。小林さんは「パレスチナ産オリーブオイルを購入することは、忘れない、支え合う意思表示である」と強調しました。
抵抗の象徴
「パレスチナ問題は宗教や民族の問題に限定されるものではなく、根本的には土地と人権の問題である」と小林さんは述べ、将来の生産者たちが尊厳をもって生活できるよう、オリーブオイルを購入する意義を訴えました。オリーブは不法占領への抵抗と忍耐の象徴であり、それに対する理解と支援が重要だと考えられています。
商品とその特徴
パルシステムでは、4週に1回、エキストラバージンオリーブオイルとオリーブオイル石鹸を販売しています。これらの製品は、スパイシーな味わいと豊かな香りが特長で、多くの消費者から好評を得ています。「塩を足さずに楽しめる」との声や、「やさしい香りの石鹸に癒される」という口コミが寄せられています。
オンラインセミナーの開催
さらに、ATJは12月19日にオンラインセミナー「パレスチナのオリーブ生産者は今2024」を開催予定です。参加者は、オンラインで現地の声を直接聞ける貴重な機会となります。こうした取り組みを通じて、パレスチナの現状に対する理解を深めてほしいと願っています。
パレスチナのオリーブオイルは、その背後にある深い歴史と切実な現状を持っています。そして私たちがその消費を通じてできる支援について考えていくことが求められています。