iPS細胞から作製したNKT細胞の臨床試験が完了!頭頸部がん治療の新たな可能性に期待
iPS-NKT細胞の臨床試験が完了 - 頭頸部がん治療の新たな道が開けるか?
千葉大学病院と理化学研究所は、iPS細胞から作製したNKT細胞(iPS-NKT細胞)を用いた、再発・進行頭頸部がん患者を対象とした第Ⅰ相医師主導治験を完了しました。本治験は、iPS-NKT細胞を腫瘍血管内に直接投与する画期的な治療法であり、2020年5月に開始されました。
安全性と有効性の確認
本治験では、iPS-NKT細胞を高用量で投与した際に、人体への安全性を評価することが目的でした。10名の患者への投与を通して、iPS-NKT細胞の安全性が確認され、新たな治療法開発への期待が高まっています。今後、詳細なデータ解析を行い、国際誌への発表を目指すとともに、より効果的な治療法開発にも力を入れていく予定です。
iPS-NKT細胞とは?
NKT細胞は、リンパ球の一種で、がん細胞に対して強い攻撃力を持つことが知られています。しかし、人の血液中にわずかしか存在せず、実用化には多くの課題がありました。iPS-NKT細胞は、iPS細胞からNKT細胞を分化・作製することで、高機能な細胞を増殖させる技術です。この技術により、頭頸部がんへの直接投与が可能となり、高い治療効果と実用性が期待されています。
今後の展望
本治験の成功は、iPS細胞を用いた再生医療が、がん治療の新たな選択肢となる可能性を示すものです。今後、iPS-NKT細胞の有効性を高めるための研究開発が進められ、より多くの患者さんのために、安全で効果的な治療法が実現されることが期待されます。
研究の支援
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の再生医療実用化研究事業の支援を受けて実施されました。また、ブライトパス・バイオ株式会社からも支援を受けています。