太平洋クロマグロ漁獲量増枠、国内配分の公平性を求める声 - はえ縄漁業協会が要望書提出
太平洋クロマグロ漁獲量増枠、国内配分の公平性を求める声 - はえ縄漁業協会が要望書提出
来年(2025年)から漁獲可能量の増枠が見込まれる太平洋クロマグロをめぐり、国内における漁獲可能量の配分方法に関して、新たな動きが出ています。全日本マグロはえ縄振興協会は、農林水産大臣に対し、増枠分の配分において、過去の行政の裁量ミスを是正し、公平な配分を実現することを求める要望書を提出しました。
同協会は、水産庁が2018年から導入した漁獲可能量(TAC)制度において、近海はえ縄漁船などを対象とする「かつお・まぐろ漁業」に対する配分が、過去の漁獲実績に比べて極端に少ないとしています。この結果、同協会所属の漁業者に対しては、漁獲可能量が不足し、経営が圧迫されてきた状況が続いているといいます。
同協会は、来年からの増枠を機に、過去の不公平な配分を是正し、漁業者の経営安定につながるよう、以下の点を要望しています。
過去の過少配分の是正: 2018年から2021年までの4年間で、近海はえ縄漁業に対して、約1200トンもの漁獲可能量が不足していたと主張しており、その是正として、2025年から2年間、年間600トン相当の漁獲可能量を「かつお・まぐろ漁業」に優先的に追加配分することを求めています。
基礎比率の見直し: 現在の配分方法では、過去の不公平な配分が反映されており、今後も「かつお・まぐろ漁業」に対して不利益が生じると懸念されています。同協会は、この問題を解消するため、2021年の実績を国際基準の数量に置き換え、基礎比率を算出し直すよう求めています。
大中型まき網漁業への配分抑制: 大中型まき網漁業は、太平洋クロマグロ資源に大きな影響を与えているとされ、同協会は、増枠分の配分において、大中型まき網漁業への配分を控えるべきだと主張しています。
IQの見直し検討: 現在の漁獲割当(IQ)は、過去の不公平な配分と先獲り競争の影響を受けており、見直しが必要だとされています。同協会は、増枠分にIQを適用せず、漁船間のシェアを再調整することを可能とする運用も検討すべきだと提言しています。
同協会は、今後、水産庁や水産政策審議会に対して、要望実現に向けて積極的に働きかけていく方針です。太平洋クロマグロの資源管理と漁業者の安定経営という課題をどのように解決していくのか、今後の動向が注目されます。
会社情報
- 会社名
-
一般社団法人 全日本マグロはえ縄振興協会
- 住所
- 静岡県下田市柿崎26-20
- 電話番号
-
0558-23-3088