家庭と両立できる仕事は本当に足りているのか?
仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実態を探る調査機関『しゅふJOB総研』が、2024年3月に実施したアンケート調査の結果が発表されました。
今回の調査では、665名の主婦・主夫層から「家庭と両立させることのできる仕事の数」や「仕事と家庭を両立させる上で必要なこと」など、具体的な質問を通して現状を分析しています。
調査結果によると、72.5%の人が「家庭と両立させることのできる仕事の数」が不足していると回答しました。これは、2022年の調査結果と比較して6ポイントほど減少してはいるものの、依然として多くの主婦・主夫が仕事探しに苦労している現状が浮き彫りになりました。
さらに、仕事と家庭を両立させる上で必要なものとして、8割以上の人が「時間や日数など条件に合う仕事」を挙げました。続いて「上司や同僚など職場の理解」が59.8%、「家族の理解や協力」が54.4%と続きました。しかし、2022年の調査と比較すると、これらの項目の比率は軒並み減少しています。これは、仕事と家庭の両立に対するネガティブな要素が、全体的に減少してきていることを示唆しています。
特に注目すべきは、「保育所等子どもを預ける場所」と回答した人の割合が20ポイント減少したこと。これは、近年保育施設の整備が進んできていることが要因として考えられます。
一方で、仕事と家庭の両立とキャリア形成については、21.2%の人が「両立しながらキャリアを発展させることはできる」と回答した一方、「キャリアの発展どころか仕事と家庭の両立すら難しい」と回答した人は35.5%にのぼりました。
特に「両立すら難しい」と回答した人の比率は、お子さんがいる人の方が高く、お子さんの年齢が小さい層ほど高くなっています。
これらの結果から、柔軟な勤務条件で仕事と家庭を両立させやすく、かつキャリアを発展させられるような仕事の必要性が改めて浮き彫りになりました。
仕事と家庭の両立を阻む課題とは?
今回の調査では、フリーコメントを通して、主婦・主夫たちが仕事と家庭の両立、そしてキャリア形成に対して抱える具体的な課題が見えてきました。
キャリア形成を阻む要因として、以下のような意見が多く寄せられました。
時短やパートの仕事は、短時間でできる仕事内容に限られるため、キャリアアップが難しい。
仕事に集中できない現実。
仕事の時間が物理的に足りず、キャリア形成のための自学の時間も不足。
役職がつくと、不在時の対応などに困り、結局は仕事も周りの理解と協力が必要になってしまう。
専業主婦の経験はマイナスに捉えられることが多く、社会的な壁を感じる。
職場環境の理解不足。
子どもとの時間を犠牲にしないとキャリア形成は難しい。
仕事と家庭の両立すら難しいと感じている人からは、以下のような声が寄せられました。
不登校などの問題を抱える子どもがいるため、フルタイム、フル出社の仕事はできない。
家庭を回すには協力者が必要で、自分がやりくりするしかない。
育児や家庭の負担が大きく、キャリア形成までにモチベーションが上げられない。
* 子供が小さいうちはどちらかを犠牲にしないと両立できない。
これらのコメントから、主婦・主夫たちは、仕事と家庭の両立、そしてキャリア形成に対して、様々な困難を抱えていることがわかります。
働き方改革と社会全体の意識改革が求められる
今回の調査結果を受け、しゅふJOB総研では、短時間や短日数、テレワーク、フレックス勤務など柔軟な勤務条件で仕事と家庭を両立させやすく、かつキャリアを発展させられるような仕事の必要性を訴えています。
さらに、職場環境の理解不足や、社会的な偏見など、制度的な問題だけでなく、社会全体の意識改革も必要だと指摘しています。
仕事と家庭の両立、そしてキャリア形成は、個人の努力だけでは実現できない課題です。企業や社会全体で、多様な働き方を積極的に受け入れる体制を構築していくことが重要です。