ソブリン投資家の戦略
2025-07-14 16:33:23

インベスコのグローバル調査が示すソブリン投資家の新たな戦略とは

インベスコの最新調査:ソブリン投資家の新たな戦略



2025年7月14日、ロンドンで行われたインベスコの第13回グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディは、ソブリン投資家の投資行動に関する重要な洞察を提供しています。この調査は、全世界の83のソブリン・ウェルス・ファンドと58の中央銀行の投資責任者らから得た141の専門家の見解に基づいており、合計27兆ドル(約4,050兆円)の資産を運用しています。ここでは、調査で浮かび上がったトレンドを掘り下げていきましょう。

アクティブ運用の拡大


調査によると、ソブリン投資家はポートフォリオの構築方法を根本的に見直しており、特にアクティブ運用に高い関心を寄せています。アクティブ運用は、より高い精度やコントロールを求める中で重要な役割を果たしており、約70%以上の割合で債券と株式に関連するアクティブ運用を採用しています。

特筆すべきは、調査対象の52%が今後2年間内に株式のアクティブ運用を増やす計画があると回答していること。一方、債券のアクティブ運用を増やす意向を示したのは47%でした。この流れは、特に1,000億ドルを超える運用資産を持つソブリン・ウェルス・ファンドで顕著で、75%が過去2年間で株式のアクティブ運用比率を高めています。

債券の再定義


地政学的な変化や金利の正常化が進む中、多くのファンドは流動性管理を強化し、ダイナミックなポートフォリオ構築への移行を進めています。調査によれば、今後12ヶ月間で24%のソブリン・ウェルス・ファンドが債券へのエクスポージャーを増やす予定です。債券はもはや単に防御的なリスクオフの手段としてだけでなく、柔軟な収益源としての重要性を増しています。

プライベート・クレジットへのシフト


ソブリン投資家の間でプライベート・クレジットへの関心が高まっています。調査では、2024年の30%から2025年には44%に増加する見通しです。この流れは、高金利・高インフレ環境下における伝統的な株式と債券の相関関係が崩れつつあることとも関連しています。

新興市場と中国へのアプローチ


新興市場への投資戦略は厳選されつつありますが、中国に対する関心が再び高まっています。調査によると、2024年には20%だった中国を最優先の投資対象とするソブリン・ウェルス・ファンドが、本年は28%に増加しています。特に、中国の技術革新に対する関心が高まっており、AIや再生可能エネルギー分野での成長が見込まれています。

デジタル資産の台頭


デジタル資産への投資も、機関投資家にとって重要なテーマになっています。調査結果では、ソブリン・ウェルス・ファンドの11%がデジタル資産に直接投資しているとのこと。中でもステーブルコインへの関心が高まりつつあり、価格の安定性が投資の魅力となっています。

中央銀行の準備金管理


中央銀行においては、準備金管理が強化されています。調査によると、64%の中央銀行が今後2年間で準備金の増加を計画しており、金へのエクスポージャーを増やすと見込んでいます。金は、地政学的不安定性と財政的不確実性に対する重要な防衛手段として再評価されています。

結論


この調査から明らかになったのは、政治的・経済的な変動に対してソブリン投資家がどのように適応し、投資戦略を見直しているかということです。アクティブ運用の拡大、債券の再評価、プライベート・クレジットやデジタル資産への関心の高まりなど、新たな投資環境において確固たる戦略を構築しつつあります。


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会社情報

会社名
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社
住所
東京都港区六本木6丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー14F
電話番号
03-6447-3000

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