オンセミ、新技術の買収でAIデータセンター戦略を前進
アメリカ、アリゾナ州スコッツデールに本社を置くオンセミ(onsemi)は、先日、Qorvo社からその子会社であるUnited Silicon Carbideのシリコンカーバイド接合型電界効果トランジスタ(SiC JFET)技術を、1億1500万米ドルで買収する契約を発表しました。この戦略的な買収により、オンセミは自身のEliteSiCパワー製品ポートフォリオを強化し、AIデータセンター向けの電源ユニットにおける高エネルギー効率と高電力密度のニーズに応える準備を整えています。
SiC JFET技術とは何か
シリコンカーバイドは、特に高温や高電圧での性能が求められる場面で重要な役割を果たす半導体材料です。SiC JFETは、その設計上、チップ面積あたりのオン抵抗が非常に低く、他の技術に比べて使用面積が半分以下になることが特徴です。そのため、より少ないスペースで高性能な回路が組み込めます。さらに、従来のシリコンベースのトランジスタと同様の市販のドライバを利用できるため、開発コストや時間を劇的に短縮できます。
エネルギー効率の向上
オンセミのパワーソリューションズグループのグループ・プレジデントであるサイモン・キートン(Simon Keeton)氏は、「AIのワークロードがますます複雑化し、エネルギー消費が増加する中で、高エネルギー効率を持ち、高電圧に対応できる信頼性の高いSiC JFETの重要性が高まる」と述べています。Qorvoが持つ高度なSiC JFET技術の統合により、オンセミはエネルギー消費の最適化を図りつつ、電力密度の向上を実現する新たなソリューションを提供することを目指しています。
新しい市場へのアプローチ
このシリコンカーバイド技術の買収は、単にパワー製品を強化するだけでなく、オンセミがEVバッテリーディスコネクトやソリッドステートサーキットブレーカー(SSCB)などの新たな市場への展開を加速する手助けともなります。これにより、顧客は高効率かつコストパフォーマンスに優れたソリューションを享受できるようになります。
今後の展望
この買収は、既存の慣習的な成立条件が満たされた後、2025年第1四半期までに完了する見込みです。オンセミは、今後も持続可能でクリーンなエネルギーの質を高めるための取り組みを進め、技術革新を追求する企業であり続けます。
オンセミについて
オンセミは、世界中の最も複雑な課題を解決するためのインテリジェントなパワーおよびセンシング技術を提供し、持続可能な社会の実現に寄与しています。自動車の電動化や産業用オートメーション、持続可能なエネルギーグリッドなどに注力し、ヘルスケアから通信インフラに至るまで、広範な業界でテクノロジーを活用しています。詳細は公式サイト(https://www.onsemi.jp)をチェックしてください。