三菱自動車工業株式会社とゼンリングループの2社は、国内で初めて電動車の走行データを可視化した「EV行動分析レポート」の提供を開始することを発表しました。このサービスの導入により、電動車の利用形態が明らかになり、効率的な充電インフラの構築に寄与することが期待されています。
このレポートは、三菱自動車の電動車から得られるデータを元に、日々の走行距離や走行エリア、充電スポット、充電状態(SOC)および公共充電器の利用履歴を匿名で収集し、ビッグデータとして解析します。ゼンリンが持つ地図情報や位置情報解析プラットフォームと組み合わせることで、多面的な視点から電動車の利用傾向を浮き彫りにしています。
国は2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラルの目標を掲げており、それに向けて電動車の普及が重要視されています。また、経済産業省は2030年までに公共の急速充電器を3万口を含む30万口の充電インフラを整備する方針を示しており、これに合わせたデータ提供が求められています。
「EV行動分析レポート」は、自治体や充電インフラを提供する事業者にとって重要なツールとなるでしょう。将来的な電力需要の予測やインフラ設置コストの試算、さらには充電器の設置場所を検討する際にも大いに役立つでしょう。これにより、行政の円滑なインフラ整備が進むことが期待されます。
三菱自動車は、2009年に世界初の量産EV『アイ・ミーブ』を発売し、さらに2013年にはSUVタイプのプラグインハイブリッドEV『アウトランダーPHEV』を市場に送り出しました。2035年度までに全ての販売を電動車に切り替えることを目指しており、電動車から集めたデータを利用して、充電インフラの普及をさらに促進させる計画です。
一方、ゼンリンは現実の地理情報を網羅する「時空間データベース」を構築しており、充実した情報を基に充電スタンドの提供を行っています。出力情報、営業時間、満空情報など精細なデータを提供し、各種業者に対してEV利用の利便性を高めるための支援を行っています。ゼンリンデータコムも同様に、位置情報解析技術を使い、交通データや人流データを多様な業界へ提供し、EV導入に関する問題解決の手助けをしています。
この新サービスの展開により、電動車利用環境が大きく改善される見通しです。今後、電動車がますます普及し持続可能な社会を築くための重要な手段となるでしょう。各自動車メーカーや自治体、インフラ事業者がこの情報を最大限に活用し、よりクリーンな未来を実現することが期待されます。