金利上昇は不動産市場にどう影響する?JLLが日本の投資動向を分析
総合不動産サービス大手JLLが発表したレポート「活況が続く日本の不動産投資市場」によると、金利上昇は日本の不動産市場に大きな影響を与えるものの、依然として投資需要は高いことが示されました。
レポートでは、日本の金利上昇は物価や賃金、消費動向を慎重に考慮した上で、段階的に行われると予想されています。そのため、資金調達環境は引き続き良好と見られ、東京都心のオフィスビルや物流施設への投資機会は拡大すると予想されます。
国内投資家の堅調な需要
年金基金やインフラ企業など、国内投資家の不動産投資需要は非常に高いとされています。年金基金は、リスク分散や運用利回りの向上を目的に、不動産を含むオルタナティブ資産への投資を拡大してきました。インフラ企業も本業との相乗効果や保有不動産の有効活用を背景に、不動産投資を積極的に行っています。
海外投資家の注目も高まる
海外投資家による日本の不動産取得額は、2020年をピークに減少傾向にありましたが、近年は売却額が増加しています。これは、欧米の投資家が不動産ポートフォリオの見直しを進めていることや、高いリターンを期待できる投資先が不足していることなどが要因と考えられます。しかし、JLLでは、日本の不動産市場は賃料上昇や事業会社による不動産売却が見込めることから、海外投資家の注目は依然として高く、今後の取得が本格化する可能性があると予測しています。
JLL日本リサーチ事業部シニアディレクター 谷口 学氏のコメント
「金利上昇は懸念材料ですが、物価上昇や賃金上昇を前提とした慎重な利上げであれば、不動産市場への影響は限定的です。国内投資家の需要は非常に底堅く、投資機会の増加によって不動産投資市場はさらに活況を呈すると予想されます。海外投資家にとっても、欧米と異なる動きをしている日本の不動産に対する関心は高く、物件取得が本格化する日は近いと思われます。」
まとめ
JLLのレポートは、日本の不動産投資市場は金利上昇の影響を受けながらも、国内投資家の堅調な需要と海外投資家の注目により、今後も活況を呈すると予想していることを示しています。今後も市場の動向に注目していく必要があります。