東京都 大田区 羽田空港 航空機事故 消火救難

羽田空港航空機衝突事故からの教訓：消火救難・医療救護体制の強化

2024年1月2日に発生した羽田空港航空機衝突事故を受け、国土交通省航空局は、事故時の消火救難・医療救護活動の検証を実施しました。この検証では、事故対応における課題が明らかになり、今後の改善に向けた具体的な対策が打ち出されました。

主な検証内容と対応

1. 休日・夜間の初動体制強化

事故発生時が正月休暇中であったことから、消火救難協力隊の参集に時間がかかり、空港内への緊急車両の誘導にも遅延が発生しました。この問題に対処するため、国土交通省は、休日や夜間でも迅速に対応できる体制構築を図ります。具体的には、空港側担当者の増員、緊急車両誘導体制の強化、ドクターカーやドクターヘリの活用検討などが挙げられます。

2. 現場指揮所の明確化と活動調整の充実

事故現場が広く、現場指揮所の場所や責任者が分かりにくい状況が発生しました。また、負傷者情報を得ようと多くの人が指揮所に集まり、混乱が生じました。この問題を解決するため、現場指揮所の場所を明確に示す旗や目印を導入し、負傷者情報などの共有体制を強化することで、指揮所の混雑解消を目指します。

3. 医療関係者の派遣規模判断の迅速化

事故発生直後、医療関係者の派遣規模判断に時間がかかったことが課題として挙げられました。迅速な対応を可能にするため、非常脱出が行われている事故の場合は、直ちに全医療救護リソースを投入するよう要領が改正されます。また、対象となる医師への直接連絡体制も強化されます。

4. 現場での医療活動の統制と情報共有

事故現場では、医療関係者が複数箇所で対応しており、現場と指揮所との連絡調整が円滑に行われず、負傷者情報の収集に時間を要しました。この問題を解決するため、医療活動全体を把握できる実践的な訓練を積み重ね、情報共有を強化する対策が検討されています。

今後の予定

国土交通省は、これらの改善策を基に、7月から8月にかけて関係要領の改正を行い、8月下旬に施行する予定です。

事故から学び、より安全な航空環境の実現に向けて

今回の検証結果は、羽田空港における消火救難・医療救護体制の課題を明らかにするとともに、今後の改善に向けた重要な指針となります。国土交通省は、今回の経験を踏まえ、関係機関と連携し、より安全で確実な航空環境の実現に向けて取り組んでいきます。