物流業界における自動化の実態とは
物流不動産のグローバルリーダー、プロロジスが初めて「物流施設自動化の実態調査」を実施しました。この調査は、関東圏の物流企業や荷主企業を対象に行われ、63の事業拠点での自動化状況を詳しく把握しています。その結果、物流業界における自動化の現状や課題が浮き彫りになりました。プロロジスは、これらの情報を基に顧客の自動化支援を行うことを目指しています。
調査の背景と目的
昨今、日本の物流業界は、労働人口の減少や「物流の2024年問題」といった課題に直面しています。これらの問題を解決するためには、倉庫内オペレーションの自動化が不可欠です。プロロジスは、業界のオピニオンリーダーとして、情報発信を通じて顧客やパートナー企業のニーズに応えるため、今回の調査を実施しました。
調査は2023年6月から2024年3月にかけて行われ、関東圏内のプロロジスパークに入居している55社を対象としました。これにより、物流業、製造業、卸売業、小売業等、さまざまな業種の企業の自動化実態を把握しました。
主な調査結果
1. 自動化の現状
調査結果によると、物流施設における1工程以上の自動化率は51%に達しました。具体的には、複数の工程で自動化されている拠点が26%、一つの工程のみで自動化されている拠点が25%でした。未導入の拠点は49%であり、まだ半数以上の拠点で自動化が進んでいないといえます。
2. 荷主企業と物流企業の自動化格差
自動化の推進状況には大きな格差が見られます。荷主企業の自動化導入率は86%であり、長期的な視野で進める傾向が強いのに対し、物流企業はわずか21%に留まっています。このような状況は、今後の競争環境に影響を与える可能性があります。
3. 消費者向け出荷工程の自動化
興味深いことに、一般消費者向けの出荷工程の自動化率は100%に達しています。この傾向は、企業向け業務(toB)と比較しても顕著であり、自動化ソリューションの導入が進んでいることを示唆します。
4. 2024年問題への対策
バース予約・管理システムの利用率は17%に過ぎません。マルチテナント型の物流施設では、バース不足が少ないため、予約システムの導入が進まないことが要因の一つとされています。現場からは2024年問題対策のソリューションを求める声が上がっており、今後の導入が期待されます。
今後の展望
プロロジスは調査結果を踏まえ、物流効率化のニーズに応えるための取り組みを強化するとともに、業界の課題解決に向けて情報発信を続けていく方針です。自動化推進のためのコンサルティングサービスを活用し、今後も顧客と共に成長していくことが求められています。
この調査は、物流業界における自動化の現状と未来に関する貴重な洞察を提供します。具体的なデータと企業の実態を把握することで、業界全体の効率向上を図ることが期待されます。