Grafana Labsが2026年に発表した第4回年次「Observability Survey」は、76カ国から1,363人以上のIT運用担当者やテクノロジーリーダーを対象に行われたもので、オブザーバビリティ市場の現状や未来についての重要な知見が得られました。この調査は特に、AIの導入に対する期待感や、それに伴う運用の複雑さ、コストに関する課題、さらにはオープンエコシステムの役割の重要性を明らかにしました。
調査結果によると、92%の回答者がAIによるダウンタイム前の異常検知に極めて有用性を感じている一方で、38%は複雑性が最大の懸念事項であるとしています。また、77%の運用担当者がオープンソースやオープンエコシステムの重要性を強調し、自社のオブザーバビリティ戦略の中核に位置づけています。
特にAIの利用に関しては、92%が異常の初期発見やダッシュボード、アラート、クエリの自動生成に価値を見いだし、91%が予測や根本原因分析に対するAI活用を支持しています。しかし、AIが完全に自律的に運用を行うことには慎重な姿勢を示しており、15%はAIに全幅の信頼を寄せていないとのことです。
AI導入には「必要なコンテキストを手作業で大量に入力しなければならない」点が障壁となっており、95%の回答者がAIの推論過程の透明性を求めています。これは、単に運用の効率化を図るためではなく、運用担当者が信頼できる。AIを必要としている現れといえるでしょう。
さらに、SaaSの活用が進む中、企業はオブザーバビリティにおけるROIも重視していることが調査から見えてきました。半数の回答者が来年の支出を増やす見込みで、その理由としてオブザーバビリティの利用範囲の拡大が挙げられています。このニーズの高まりは、市場の成熟を示す一方で、支出の判断がこれまで以上に慎重になっていることも表しています。
オブザーバビリティに関する課題、特に複雑性は依然として解決が難しく、38%がこの点を最も懸念しています。しかし、77%が一元管理によって時間や費用の削減を実現していることからも、十分に効果が表れていることがわかります。さらに、SLOの導入やビジネスオブザーバビリティの活用も進んでおり、オブザーバビリティの範囲は拡大しています。
また、オープンソース、特にOpenTelemetryについての需要は今後ますます高まるものと考えられます。77%の企業がオープンエコシステムを重要視しており、その理由には導入の容易さとベンダーの自由度が挙げられています。これは、多くの企業がロックインを恐れ、より柔軟な運用を求めていることにも繋がります。
最後に、Grafana Labsのマーク・チポーラスシニアディレクターは「AIはオブザーバビリティのワークフローに組み込まれるべきであり、その結果、運用の迅速化や作業負荷の軽減が期待される」とコメントしています。これらの調査結果は、企業が今後どのようにオブザーバビリティを進化させていくかの重要な指針を示すものであり、私たちの業務環境におけるベストプラクティスを再評価する機会となるでしょう。