三菱電機の新たな一歩
三菱電機株式会社が、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「MEイノベーションファンド」を通じて、スタートアップ企業の株式会社Pale Blueに出資しました。Pale Blueは、水を推進剤とした小型衛星用推進機の開発を行っており、近年の人工衛星の打ち上げ増加に対する期待の高まりから、その技術は注目を集めています。
人工衛星と推進機の重要性
近年、宇宙ビジネスが急速に拡大する中、人工衛星の動力源である推進機は不可欠な要素とされています。推進機は、衛星の運用や軌道間輸送を実現するための重要なコンポーネントであり、特にその安全性やコスト効率、環境への影響が求められます。Pale Blueはこのニーズに応え、水を利用した推進技術の開発に取り組んでいます。
Pale Blueの技術とビジョン
Pale Blueは、東京大学から派生したディープテックスタートアップで、2020年に設立されました。主に「低圧常温における水の蒸発機構」と「耐酸化性を持つ低電力プラズマ生成」を中心にした独自の水推進機の開発を進めており、科学的な実証も多数行っています。水を推進剤として利用することで、他の推進剤と比べ安全性やコスト、環境負荷において優位性があり、信頼性の高い技術能力を証明しています。
Pale Blueの代表、浅川純氏は、三菱電機からの出資を喜び、「当社の推進機技術を元に宇宙空間でのモビリティの提供を進め、共同で技術的信頼性を高めていく」と述べています。これにより、宇宙産業の中核となるモビリティの創出を目指します。
三菱電機の評価
三菱電機のビジネスイノベーション本部長、松原公実氏は、Pale Blueが持つ水を用いた革新的な推進技術に非常に高い期待を寄せています。彼は、『この持続可能な推進技術が、宇宙における輸送の安全性や効率性、環境適合性の向上に寄与するだろう』と述べ、今後は技術共創を通じて宇宙ビジネスの新たな方向性を切り開くことを再確認しました。
今後の展望
Pale Blueは、今後も三菱電機との協業を進め、持続可能な宇宙空間の実現に向けて技術の開発を進めていく所存です。株式会社Pale Blueは千葉県柏市に拠点を構えており、小型人工衛星用推進機の開発に注力しています。あらゆる可能性が広がる宇宙ビジネスにおいて、彼らの技術がどのように活躍していくのか、今後の展開に目が離せません。