栗木隆取締役研究フェローが貝沼賞を受賞
日本応用糖質科学会において創設された「貝沼賞」が、江崎グリコ株式会社の栗木隆取締役研究フェローに授与されることが決まりました。この賞は、日本の科学技術の発展に貢献した人物を表彰するもので、栗木氏はその輝かしい功績が評価されました。
貝沼賞の意義
貝沼賞は、日本の科学技術の発展を遂げるために多大な貢献をした貝沼圭二博士を称え、設立された表彰制度です。この賞は、特に糖質や酵素の分野における基礎研究が、どのようにして技術開発や産業振興に結びつくかを評価することを目的としています。受賞者は国籍や会員資格に関わらず、幅広く選定されます。
栗木隆氏の経歴と受賞歴
栗木氏は1981年に大阪大学工学部醗酵工学科を卒業後、江崎グリコに入社しました。その後、博士号を取得し、カナダやアメリカの研究機関での経験を経て、2007年に取締役に就任しました。彼は日本応用糖質科学会の副会長を務めるなど、国内外での学会活動でも著名です。栗木氏のこれまでの受賞歴には、日本応用糖質科学会の「奨励賞」や「学会賞」、さらには「Lifetime Achievement Award」といった数々の栄誉があります。
受賞の背景とその功績
栗木氏の受賞理由として、『α-アミラーゼファミリー』の概念を提唱し、新たな酵素「ネオプルラナーゼ」を発見したことが中核です。この新しい考え方は、従来の酵素学の常識を覆すもので、酵素の機能はただ一つではないことを示しました。さらに、彼が江崎グリコで脳裏においた研究資源は、さまざまな新素材の開発に結び付き、特に食品や化粧品業界において新たな市場を切り開く役割を果たしました。
研究成果による新素材
栗木氏の研究成果から生まれた代表的な新素材には、以下のものがあります。
- - クラスターデキストリン® / 高度分岐環状デキストリン
トウモロコシのデンプンを基にした食品素材で、運動時に摂取しても胃に負担をかけず、ゆっくりと消化・吸収される特性があります。
- - POs-Ca(ポスカ®)/ リン酸化オリゴ糖カルシウム
北海道産じゃがいも由来のこの素材は、むし歯に対して強い効果を発揮します。スムーズに唾液に溶け、エナメル質を健康に保つ助けとなります。
高純度なグリコーゲン素材で、スキンケアやボディケアなどに利用され、日常生活にも幅広く用いられています。
受賞講演の詳細
今回の表彰式は、2024年9月26日に京都大学百周年時計台記念館で行われます。栗木氏による受賞講演では、「応用糖質科学の基礎研究を基盤にした新素材の開発ならびに新素材事業の立ち上げと新素材を鍵とした最終消費財事業の深耕」がテーマに掲げられ、さらに彼のビジョンが語られることでしょう。