セグノスと東京都健康長寿医療センター、早期アルツハイマー病スクリーニング検査法の共同研究開始
株式会社セグノスと地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターは、画期的な早期アルツハイマー病スクリーニング検査法の開発に向けた共同研究を開始しました。この研究は、セグノス社の磁性ナノ粒子技術「Therma-Max®」と、東京都健康長寿医療センターが開発した高感度免疫診断技術「ThermaLISA法」を組み合わせることで、従来の検査方法では困難であった血液1滴による簡便なスクリーニング検査の実現を目指しています。
背景:増加する認知症患者と課題
日本の認知症高齢者数は増加傾向にあり、2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人に達すると推計されています。認知症の診断には、アミロイドPET検査、脳脊髄液検査、質量分析法などがありますが、これらの検査は場所や設備、コスト、侵襲性などの問題があり、早期発見のためのスクリーニング検査としては適していませんでした。
共同研究の概要:超高感度な血液検査の実現
早期アルツハイマー病の発見には、血液中のバイオマーカー(Aβ、リン酸化タウなど)の検出が有効と考えられています。しかし、これらのバイオマーカーは血液中に非常に低濃度で存在するため、従来の検査技術では検出が困難でした。
セグノス社の「Therma-Max®」は、ナノサイズ化された磁性粒子で、従来の磁気ビーズよりも高感度な検出を可能にします。また、「ThermaLISA法」は、汎用性の高い卓上型検査機器を用いた高感度免疫診断技術です。この技術を用いることで、血液1滴からフェムトグラム/mlオーダーの超低濃度のリン酸化タウ217の検出にも成功しています。
共同研究の目的:誰もが受けやすい検査の実現
セグノスと東京都健康長寿医療センターは、この共同研究を通して、血液1滴で簡便かつ迅速にアルツハイマー病をスクリーニングできる新たな検査法を開発し、早期発見と治療につなげたいと考えています。
セグノスの取り組み:医療DX改革への貢献
セグノスは、2024年2月にJNC株式会社から磁性ナノ粒子技術の独占的ライセンス契約を受け、設立されました。同社は、超高感度な診断技術「ThermaLISA法」を用いた血液1滴診断で、医療DX改革への貢献を目指しています。
東京都健康長寿医療センターの取り組み:認知症との共生・予防推進
東京都健康長寿医療センターは、高齢者医療・老年学研究の拠点として、地域の医療機関、行政、研究機関と連携し、診療・研究活動を行っています。同センターは、2019年12月に東京都が策定した「未来の東京」戦略ビジョンにおける認知症との共生・予防推進プロジェクトを推進しており、2020年に認知症未来社会創造センター(IRIDE)を立ち上げました。
期待される効果:早期発見・治療による患者の負担軽減
この共同研究により開発される早期アルツハイマー病スクリーニング検査法は、誰もが容易に受けられる検査となることが期待されています。これにより、早期発見・治療が可能となり、患者の負担や家族の負担を軽減するとともに、医療費の削減にも貢献すると期待されています。