MUFGが新たな環境方針を発表、気候危機対策は不十分との声
MUFGが新たな環境・社会ポリシーを改定
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、特定セクターにおける環境・社会ポリシーフレームワークの改定を行ったと発表しました。この変更により、石炭火力発電、森林、パーム油セクターのファイナンス方針が見直されましたが、環境団体や専門家からはこれまでの対応が不十分であるとの批判が上がっています。
特定非営利活動法人 気候ネットワークの国際ディレクター、平田仁子氏は、この改定について「いくつかの部門での対策は強化されたが、現在の気候危機に対処するには依然として不十分だ」と指摘しました。具体的には、MUFGが石炭火力発電所の新設に原則としてファイナンスを実行しないとしたものの、CCUSや混焼技術を備えた石炭火力発電所については例外的な検討を残している点が問題視されています。
これらの技術は短期的な減炭効果を期待できず、逆に石炭火力を延命する可能性があるため、気候変動対策としては整合性がないと言われています。横山隆美氏が代表を務める国際環境NGO 350.org Japanも、MUFGが今後、より野心的な石炭関連の方針を策定することを求めています。
脱石炭に向けた動きは限られる
MUFGの改定は、基本的にプロジェクトファイナンスに留まっており、コーポレートファイナンスを含まない点が大きな懸念です。MUFGは、世界で第三位の石炭産業への融資規模を誇り、石炭セクター全体に対する政策を拡大すべきとの声もあります。環境団体からは、バリューチェーン全体を考慮した包括的な戦略が期待されていますが、今回の改定ではそれが実現されていません。
特にMUFGは、熱帯林破壊を引き起こすパーム油や紙パルプ業界への資金提供でも著名です。このような企業への融資は地域の環境に深刻な影響を与えており、パーム油セクターにおける「森林破壊ゼロ」基準は評価されつつも、適用範囲が限定的であるため、さらなる透明性が求められています。
来るべき変革をどう迎えるか
今回の方針変更には、石油・ガスセクターに関する方針の見直しが含まれていないことも大きな懸念です。この背景には、MUFGが過去五年間で化石燃料事業に多額の融資を行っていることがあります。国際的な金融機関が2050年までのネットゼロを目指す中、MUFGのアプローチは後れをとっているとの批評もあります。多くの投資家や金融機関が排出ゼロに向けたコミットメントを実現しつつある中で、MUFGはこれらの動きをどのように反映させるかが問われています。
株主からは、MUFGの環境政策が今後パリ協定の目標に整合する形で進化していくことを期待し、持続可能な金融対策を進めるよう求める声が挙がっています。気候ネットワークや350.org JapanなどのNGOは、引き続きMUFGとの対話を強化し、環境への責任ある金融機関としての役割を果たすよう促していくでしょう。こうした活動は、地球規模の気候危機に対抗するために重要であり、MUFGの政策改善に期待が寄せられています。
会社情報
- 会社名
-
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
- 住所
- 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11JF千駄ヶ谷408
- 電話番号
-
03-6721-0441