アルツハイマー病ワクチンの開発に向けた協業契約
株式会社ファンペップ(本社:大阪府茨木市)は、アルツハイマー病に関連する抗体誘導ペプチドの研究を展開しています。このたび、同社は、医療機器の製品化を進める株式会社アイ・ブレインサイエンス(大阪府吹田市)と連携し、アルツハイマー病に対するワクチンの開発と簡易診断法の確立に向けた協業契約を締結したことを発表しました。
認知症は高齢化に伴って増加し、2030年には世界で1億3,900万人、日本では約700万人の患者が見込まれています。この中で、アルツハイマー病は最も多い認知症の種類とされ、患者への対応が急務となっています。近年、症状を抑える対症療法に加え、疾患の進行を防ぐ根本的治療法が開発されつつあり、特にアルツハイマー病の進行を抑制する「アミロイドβ」や「リン酸化タウ」と呼ばれる特定のタンパク質に焦点を当てた研究が進められています。
現在、早期段階の患者を特定するための簡易な検査手法が求められています。アイ・ブレインサイエンスは、すでに認知症診断をサポートするタブレット端末を用いたプログラム「ミレボ®」を承認し、さらにMCI段階の患者の認知機能を評価するシステムを開発中です。このシステムは、視線データと認知機能の検査結果を組み合わせ、機械学習モデルを活用してMCIを持つ患者を効率よく特定することが期待されています。
ファンペップは、2023年11月より「リン酸化タウ」をターゲットとしたアルツハイマー病ワクチンの研究に本格的に取り組む予定です。この協業によって、アルツハイマー病ワクチンの適切な投与対象患者を簡便に診断する方法の開発が進むことで、患者とその家族の生活の質向上に寄与することを目指しています。
この新しい動きは、認知症患者の増加に対応するだけでなく、今後の医療における新たな可能性を示唆しています。両社は連携を深め、より良い未来のための強力な一歩を踏み出しました。
参考資料
- - Alzheimer’s Disease International, World Alzheimer Report 2023
- - 厚生労働省, 認知症施策推進総合戦略
- - 厚生労働省, 国民生活基礎調査の概況
- - アルツハイマー病ワクチンの研究開始に関するお知らせ
会社情報
- 所在地:大阪府吹田市山田丘2-8 テクノアライアンスC棟 C801/802
- 設立:2019年11月13日
- 事業内容:視線検出技術を用いた神経心理検査用プログラムの開発、製造販売
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