日本郵船がウニノミクスの事業に出資
日本郵船株式会社は、このたびウニノミクスグループに出資する契約を結びました。この事業は、藻場の再生を通じて海洋生物多様性を守りつつ、温暖化の進行を防ぐための重要なプロジェクトです。出資が発表されたのは2023年7月24日で、これは海野生物の生息環境を改善するための大きな一歩とされています。
藻場とその重要性
藻場というのは海の浅瀬に存在し、海藻が密生している場所です。ここは、小魚や他の海洋生物の産卵や隠れ場所として重要な役割を果たしています。さらに、藻場は光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収・貯留する「ブルーカーボン」としても評価されています。しかし、近年、過剰に増加したウニが藻場内の海藻を食い尽くす「磯焼け」が深刻な問題となっています。このため、増えすぎたウニは食用としても適しない状態になっており、採取が行われていません。
ウニノミクスの取り組み
ウニノミクスは、増えすぎたウニを取り除くため、国内外でさまざまな拠点を展開し、天然由来の飼料を用いて食用に適した状態に育てる取り組みを行っています。この事業によって得られた利益は、さらなるウニ除去活動や藻場回復に再投資されます。この循環型ビジネスモデルは、国連の「海洋科学の10年」において公式に推薦されたプロジェクトの一つとして評価されています。
日本郵船の出資意図
日本郵船グループは、「海への恩返し」を企業理念とし、海洋環境保全を重要なテーマとして扱っています。藻場を再生することで、海洋生物多様性を保護し、さらに脱炭素化に貢献することを目指しています。このプロジェクトへの出資を通じて、ブルーカーボンのクレジット化や評価方法の確立に向けた知見を深める方針です。
パートナーシップの意義
ウニノミクスの代表Giles Cadman氏は、日本郵船との提携を「気候変動に立ち向かうための重要なステップ」と位置付けており、自然に基づいた総合的な解決策を模索することの重要性を強調しています。日本郵船の先進的な環境へのアプローチは、ウニノミクスの活動と非常にマッチしていると言えます。
日本郵船の執行役員栁澤晋一氏も、藻場の枯渇という社会的な課題の解決に向けた新たな挑戦を強力に進める考えを示しており、出資だけに留まらず付加価値の提供も検討していると述べています。
企業概要
- 本社: アイルランド
- CEO: Giles Cadman
- 事業内容: 持株会社
- 本社: 英国
- CEO: Perry Bevin
- 事業内容: ウニ畜養・技術提供・ウニ販売
- 日本法人URL:
https://www.uninomics.co.jp/
- 本社: 東京都千代田区
- 代表取締役社長: 曽我貴也
- 事業内容: 総合物流事業
- URL:
https://www.nyk.com/
この取り組みは、新たなビジネスモデルの可能性を広げると同時に、海洋環境の再生にも大きく寄与することが期待されています。今後、ウニノミクスの活動が更なる助けとなり、海の豊かさが回復することを願っています。