未来の交通安全を見据えた実証実験
2023年8月29日、一般社団法人車載データ解析協会(CDRA)が岡山県の自動車運転練習場で「デジタルデータを活用した交通事故実証実験」を実施しました。この試みは、車載デジタルデータを用いて交通事故の紛争解決に寄与することを目的としています。
実証実験の概要
実験では、車載データの解析を通じて交通事故の再現を行いました。特に、先進運転者支援システム(ADAS)の誤作動による衝突事故の影響を検証することが主な目的です。弁護士による模擬裁判の形で、被害者や加害者の立場から事故をシミュレーションし、実際の裁判でのデジタルデータの利用価値を探求しました。
使用された車両
実験に使用された車両は、最新のADASを搭載した車両(レベル1およびレベル2)であり、具体的には以下の4車種です。
- - GMキャデラックATS(2013年モデル)
- - トヨタクラウンクロスオーバー(2022年モデル)
- - トヨタクラウンRS(2018年モデル)
- - ダイハツタフト(2023年モデル)
特にトヨタの2車両については、自動緊急ブレーキ(AEB)機能をキャンセルした状態で衝突を模擬しました。
実証実験ケース
実証実験は2つの主要ケースで構成されています。
1.
ケース1: クラウンRSとダイハツタフトの組み合わせによる衝突シミュレーション。駐車車両の陰から飛び出した自転車に対し、急ブレーキを掛けるも衝突する結果になり、後続車両がAEB機能で停止できるかどうかを検証しました。
2.
ケース2: 3台の車両を用いた多重衝突事故の実験。ADASセンサーが狂った状態で事故を発生させ、誤作動の原因と事故に至る影響を詳細に調査し、デジタルデータの収集を行いました。
道路データの取得
実験中は、ダイナミックマッププラットフォーム社の協力により、事故発生時の詳細な道路情報(正確な位置、路面形状、傾斜など)も同時に収集しました。これにより、事故の分析や再現に活用できる貴重なデータを得ることができました。
今後の展開
収集した多くのデータについては、今後整理し、CDRAから順次公開される予定です。このタイプの実証実験は、日本国内で初の試みとされ、全体として交通事故に対する新たなアプローチを提案するものです。
まとめ
CDRAの今回の実証実験は、近い将来の交通安全や法的側面にとって重要な意義を持つものとなるでしょう。この取り組みが、デジタルデータの信頼性や交通事故における新しい解決策の実現に寄与することが期待されています。