岐阜のIT企業が実践!残業ゼロを実現した7つの改革|ブラック企業からの脱却への道
岐阜市に拠点を置くIT企業、株式会社サイバーインテリジェンス。社員数17名という小規模企業ながら、5年間にわたり「残業ゼロ」を達成し、業界内外から注目を集めています。WEBマーケティングを専門とする同社は、どのようにして長時間労働からの脱却を実現したのでしょうか。その軌跡と、7つの改革について詳しく見ていきましょう。
ブラック企業経験から生まれた「残業ゼロ」への強い決意
代表の渡辺氏は、若手時代に長時間労働が常態化していたベンチャー企業で働いていました。過酷な労働環境の中でスキルを磨き、事業部長にまで昇進しましたが、心身ともに限界に達し、自律神経失調症と診断されます。この経験から、「絶対にブラック企業には戻らない」という強い決意を胸に、サイバーインテリジェンスを設立しました。
起業後の苦難と「ブラック労働」の再来
起業当初は経済的に苦しく、渡辺氏自身も深夜まで働く日々が続きました。事業が軌道に乗り始め、社員が増えてくると、今度は自分がかつて経験した「ブラック労働」を繰り返していることに気づきます。残業や休日出勤が当たり前となり、社員も長時間労働に慣れていきました。
新卒社員の一言がもたらした転機
ある日、新卒社員から「この会社ってブラックですね…」という衝撃的な言葉を投げかけられます。この言葉が、渡辺氏の経営方針を根本から見直すきっかけとなりました。「優秀な人材が離れてしまう」という危機感から、働き方改革に真剣に取り組むことを決意します。
残業を「最悪な時間」と定義し、7つの改革を実施
サイバーインテリジェンスでは、残業を「夕方の渋滞道路を、割高な交通費を払って帰宅するようなもの」と定義づけました。事故やミスを誘発しやすい時間帯であることから、残業を「最悪な時間」と捉え、改革に着手。
「残業代で稼ぐのではなく、スキルで稼ぐ」という価値観を浸透させるため、7つの改革を実施しました。
1.
業務の優先順位付けと明確な目標設定
2.
ミーティングの短縮化
3.
責任の明確化
4.
不要な業務の断捨離
5.
時間管理のための時間ブロック法
6.
集中力を高める集中タイム制
7.
ITツールを活用した業務の見える化・わかる化
これらの改革により、効率的で質の高い働き方を追求し、残業ゼロを実現しました。
すぐ取り入れられる3つの改革
集中タイム制: 集中して作業している社員への邪魔を減らし、生産性を向上させました。
有限時間のシミュレーション: 年間の労働時間をシミュレーションし、限られた時間での成果を重視する社風を醸成しました。
*
業務の見える化・わかる化: ITツールを活用し、案件の進捗状況を全社員が把握できるようにしました。在宅ワークも可能になり、ワークライフバランスの向上に貢献しています。
長時間労働の美化からの脱却
日本社会に根付く「長時間労働の美化」という文化を断ち切るため、長時間労働を美徳とする風潮を改革しました。「本当に頑張っているのは、限られた時間で成果を出している人である」という価値観を徹底し、成果主義を重視する企業文化を構築しました。
社員を顧客同様に大切にする経営
サイバーインテリジェンスでは、「社員も顧客と同様に大切にするべき存在」という信念に基づき、福利厚生の充実や労働環境の改善に積極的に取り組んでいます。削減した残業代は、新卒採用や社員教育に投資し、人材育成に力を入れています。
ホワイト企業モデルとしての評価
これらの改革により、サイバーインテリジェンスは岐阜県の「ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」に認定されました。有給取得率は75%を超え、3年以内の離職率も18%と低水準を維持しています。
残業と決別する覚悟
代表の渡辺氏は「残業によって人が潰れることはあっても、残業がなくなったからといって会社が潰れることはない」と断言します。社員の健康とキャリア成長、そして企業の持続的な発展を両立させる、素晴らしいモデルケースとなっています。
結論
サイバーインテリジェンスの取り組みは、IT業界のみならず、多くの企業にとって、ブラック労働からの脱却、そして真の働き方改革を目指すための指針となるでしょう。社員と顧客の利益を創造する「利創経営」をビジョンに掲げ、持続可能な企業として、日本社会全体の労働環境改善に貢献していくと意気込みを見せています。