湯浅町に誕生した新しい木桶
著名な醤油発祥の地、和歌山県湯浅町で、1881年に創業した『丸新本家』の醤油部門が、新たに日本最大級の国産杉を使用した木桶を2基導入しました。この木桶は直径3.4メートル、高さ5.5メートルという迫力のサイズを誇り、国産杉を使った醤油木桶としては日本で2番目に大きいものです。これにより、木桶仕込みの名門として、さらなる躍進を遂げることが期待されています。
木桶仕込みの魅力
日本の醤油製造は、現在機械化が進み、木桶仕込みはかつての盛況から約1%まで減少してしまいましたが、その希少性から再評価されています。木桶を用いた製法は、醤油に独特の旨味と香りを与え、深い味わいを引き出す特性があります。様々な風味を持つ醤油を求める消費者が増えている中、この製法が持つ価値はますます認知されつつあります。
継承と革新を重んじる
2000年代初頭に、4代目は最新技術による大量生産を検討しましたが、現代表である5代目は、伝統の技を守るべきとの信念から木桶仕込みの継続を決めました。吉野杉の木桶は140年以上使い続けており、修理しながらその魅力を保っています。木桶の寿命は100年から150年と言われて法也、長年の経験を活かし新しい木桶の導入に至りました。
新木桶の製造方法
新たに設置された木桶には、国産杉を使用した100本もの木材が使われています。興味深いことに、釘や金属部品は一切不要とし、木と木を組み合わせ、金属製の締め付けバンドで強度と密閉性を確保しています。内側には漆を施し、寄生した杉の香りが一気に醤油に移ってしまわない工夫がなされています。この手法により、木桶ならではの発酵環境を維持しつつ、醤油本来の風味を損なわずに仕込むことが可能です。
新しい木桶の導入により、月に約4,000リットルの生産量が増加し、今後の醤油需要の拡大においても安定した供給体制が確立されました。
社長の思い
代表の新古敏朗社長は、「醤油醸造の発祥地として、木桶仕込みを守っていくことは地域文化の継承そのもの」と語ります。かつて大量生産が重視される時代に、木桶経法が失われる危機にあった中、今では逆にその価値が見直されています。伝統はただ守るのではなく育むものであり、新しい木桶の導入は未来への大切な一歩と捉えています。また、この魅力的な醤油を世界へ届けることが、日本の良さを再認識するきっかけになると信じています。
今後の展望
新しい木桶で仕込まれた醤油が完成するのは2028年頃が予定されています。これまで以上に美味しさを追求し、地域の誇りと節を存分に体現した醤油を生み出していくでしょう。
お披露目会とイベント
新しい木桶のお披露目は、2025年12月5日10:00から11:00に行なわれる予定で、報道関係者を招待するイベントです。12月13日には一般向けのお披露目イベントも実施予定で、詳細な情報は地元の工場で確認できます。ぜひ、地域の誇る醤油の魅力を体感してみてください。
会社概要
いつまでも変わらぬ味を追求する湯浅醤油有限会社。地域文化を守るために、持続可能で新しさを兼ね備えた醤油づくりに取り組んでいます。
- - 会社名:湯浅醤油有限会社
- - 設立年:2002年
- - 代表者:新古敏朗
- - 本社所在地:和歌山県有田郡湯浅町湯浅1464