OKI電線が宇宙市場に打って出る新製品
OKI電線(通称:OEC)は、2025年7月8日から、宇宙関連機器用の新たな製品「小ロット対応カスタム長尺FPC(フレキシブル基板)」の販売を開始します。この製品は、主にロケットや人工衛星に搭載される機器の開発を支援するために設計されており、特に試作や研究開発で求められる柔軟性を持つ特注対応を特徴としています。
このFPCは、薄くて軽く、柔軟性があり、耐久性にも優れた特性を持っています。これにより、機器内部の限られたスペースや立体的な配置での配線が可能となり、打ち上げに向けた小型化・軽量化を実現します。さらに、OECのFPCは最長で100mに達し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」にも採用されるなど、すでに数々の実績があります。
○ 小ロット対応と生産体制
OECは、小ロットに特化した「枚葉ライン」と、大量生産に適した「ロールtoロールライン」という二つの独自の生産体制を確立しています。この仕組みにより、わずか1枚から様々な形状やサイズの要求に応じた柔軟な対応が可能です。これは、開発段階から試作、量産までの各段階において、宇宙機器のコストに直結する小型化や軽量化に大きく寄与するものです。
○ 将来の展望と市場戦略
OKIは、2025年までの中期経営計画で航空宇宙市場をEMS(Electro Manufacturing Services)事業の重点分野と位置づけています。設計から製造、さらにはシミュレーションによる解析までトータルなサポートを提供し、ユーザーのニーズに応えるモノづくりを進めていく方針です。この戦略に基づき、2026年度には5,000万円の売上を見込んでいます。
○ 販売スケジュール
「小ロット対応カスタム長尺FPC」は、特注製品として個別見積もりでの提供となります。初年度の販売目標は年間5,000万円で、2025年7月からの販売を見込んでいます。彼らの新たな挑戦は、成長が期待される宇宙産業での地位確立に向けた第一歩となるでしょう。
このように、OKI電線は独自の技術と柔軟な対応力を活かし、ますます発展する宇宙市場において、一層の影響力を持つ存在を目指しています。