新しい視点からの人事制度改革
はじめに
リクエスト株式会社は、組織行動科学®を基に、33.8万人のデータを活用して日本企業における人事制度の課題に迫る新たな研究を発表しました。具体的には、企業での人事制度が期待した成果を上げない理由を制度自体の良し悪しではなく、その制度が根拠とする価値創造の構造に起因していると説明しています。この新しい視点によって、制度を実際に機能させるための解決策が明らかにされています。
発表された二つのレポート
リクエスト株式会社が公開したレポートは、1)「構造を診断するレポート」と2)「制度適用の限界と処方箋を示すレポート」という役割分担がされています。これらのレポートではそれぞれ、なぜ制度が機能しないのか、また、どのように制度を機能させるための条件を整えるべきかについて深く掘り下げています。
① 『人事制度が“機能する事業”の条件』
このレポートは、自社の事業構造を診断し、制度が機能しやすいのか難しいのかを見極めるためのものです。具体的には、制度導入が成功を左右する重要な要因として、事業が「内部完結型」か「外部協働型」かの構造の違いが挙げられています。33.8万人・980社のデータをもとに、制度の成否は、内部完結型の構造であるか否かに大きく依存することが明らかにされています。
役割と核心メッセージ
このレポートの目的は、制度が機能するための構造条件を可視化し、自社がどの型に死るかの判定を行うことです。内部KPIや外部KPIの区分を図ることで、どのような実務設計が必要なのかを導き出します。核心メッセージは、制度の成否は制度の良し悪しに依存せず、因果連鎖の閉じ方にあるということです。
② 『日本企業における人材制度の適用条件』
このレポートでは、制度がどの領域で効果を発揮し、どの領域で限界があるのかを明確にし、事業側がどのようにして専門職能を補完すべきかを示します。外部協働型の産業において、制度の効果がどのように失われるのかを詳述し、事業が自前化すべき能力を提示します。
役割と核心メッセージ
この「適用条件編」は、制度が届かない領域をどう扱うべきかを問うものであり、その限界を明確化することが重要です。制度の想定する内部完結構造と自社実態が一致していないために、制度を高めても成果が出にくいという問題を解決する必要があります。届かない領域については、制度ではなく、事業側の専門的スキルとして設計し直すべきという考えが示されています。
セットで読む重要性
この二つのレポートをセットで読むことで、自社がどの構造にいるのかを把握し、その結果制度が届くのか届かないのかを理解することが可能となります。そして不足部分はどのように補うかという全体設計図が完成します。このように、制度が整っているのに成果が出ないという普遍的な課題に対し、構造レベルでの解決策を提示することがこのレポートの大きな特徴です。
公開の背景
現在、多くの企業が人的資本経営やジョブ型制度の導入を進めていますが、それにもかかわらず成果に結びつかないという構造的な課題が顕在化しています。これらのレポートは、その根本的な問題を制度体系の構造的な不整合に再定義し、着手すべき施策を明確に指し示します。
読者のイメージ
本レポートが想定している主な読者にはCHROや人事戦略部門の責任者、経営企画・事業部門の責任者、人的資本開示・KPI設計の担当者などが含まれます。また、外部協働が多い産業の企業や専門職能の自前化を進めたい企業にも最適です。
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詳細やダウンロードは、リクエスト株式会社の
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