宅配サービス利用の実態調査:再配達問題と置き配の課題とは?
近年、通信販売業界は市場規模を拡大し続けています。しかし、一方で「物流の2024年問題」や「宅配の再配達問題」など、様々な課題も深刻化しています。
株式会社ネオマーケティングは、生活者を起点としたマーケティング支援事業を提供する企業です。同社は2024年10月7日~8日の2日間、全国の20歳以上の男女を対象に「宅配サービス」に関するインターネットリサーチを実施しました。本調査では、通信販売利用者の「置き配/配送日時指定サービスの利用頻度」「置き配を利用しない理由」「再配達依頼を行う頻度」「再配達依頼をする理由」など、宅配サービス周りの実態を多角的に分析しています。
再配達問題:半数近くが経験、気軽に依頼できる現状が課題
調査結果によると、通信販売利用者の約半数近くが、荷物を一度で受け取れなかった経験があることがわかりました。再配達依頼を「ほとんど毎回依頼する」「依頼することが多い」と回答した人は11.2%、さらに「依頼することがある」を含めると46.8%に達します。
再配達依頼をすることが多い理由として、「配送時間帯に自宅にいないことが多いから」が39.3%で最多でした。これは、生活者の時間管理の問題や、配送時間帯の指定忘れなどが要因と考えられます。
一方で、「再配達を気軽に依頼できるから」と回答した割合が17.9%に上っている点は注目すべきです。現状、再配達に対してペナルティが設けられていないため、再配達が生活者のダメージになることはありません。そのため、不用意な再配達依頼が増加している可能性も考えられます。
置き配サービス:利用率は低く、セキュリティ面が課題
置き配サービスは、配送日時指定サービスと比較して利用率が低く、「利用しない」と回答した割合は30.7%と少なくありません。
置き配サービスを利用しない理由としては、「盗難や紛失が心配だから」が48.9%でトップでした。また、「荷物が汚れる可能性があるから」「荷物が破損する可能性があるから」など、置き配で荷物を放置することで起こりうる事象に対する不安も大きいようです。
さらに、「置き配に適した場所がない」という理由も、サービスを利用しない要因として大きいようです。オートロックの物件や、宅配ボックスが設置されていない物件に住んでいる場合は、置き配サービスを利用することが難しい状況です。
宅配サービスの改善点:遅達サービスやポイント制へのニーズ
宅配サービスの改善点として、自由記述で意見を聞いたところ、「時間の余裕があれば、安い配達サービスを利用したい」という声が多数寄せられました。これは、現在の配送スピードが過剰であり、時間と引き換えに配送料を安くしたいというニーズがあることを示唆しています。
また、再配達を減らすための施策として、「1回で受け取りができた場合にポイントを付与する」といったインセンティブを設けることへの期待も高まっています。
物流の2024年問題への意識:理解度は高いものの、危機意識は低い
調査では、通信販売利用者の半数以上が「物流の2024年問題」を知っているという結果が出ました。しかし、その中でも「内容をよく知っており、詳しい影響についても理解している」と回答した人は24.2%にとどまっています。
「物流の2024年問題」は、トラックドライバーの労働時間制限によって、将来的に輸送力不足が発生する可能性があるという問題です。生活者側にも、当日・翌日配達の宅配サービスが受けられなくなるなど、様々な影響が予想されます。
宅配サービスの品質維持:追加料金への抵抗感
物流の2024年問題が指摘される中、現在の宅配サービスの品質維持には費用がかかるとされています。
調査結果では、「品質維持のためなら追加料金を支払っても構わない」と回答した割合よりも、「品質低下してでも追加料金を支払いたくない」と回答した割合の方が多くなりました。
生活者にとって、宅配サービスの品質維持は重要ですが、追加料金を支払うことに抵抗感があるようです。これは、物流の2024年問題への理解度や危機意識が低いことも関係しているかもしれません。
まとめ
今回の調査では、通信販売利用者の約半数が再配達を経験していること、置き配サービスの利用率が低いこと、そして物流の2024年問題への理解度が低いことが明らかになりました。
宅配サービスは、生活者の利便性を大きく左右する重要なサービスです。今後も、再配達問題や置き配の課題、物流の2024年問題など、様々な課題解決に向けて、生活者と企業の双方で意識改革を進めていく必要があるでしょう。