プベルル酸と腎毒性
2024-10-03 14:25:48

日機装と金沢大学が明らかにするプベルル酸の腎毒性とその評価法

プベルル酸の腎毒性を確認



日機装株式会社と金沢大学医薬保健研究域薬学系の荒川大准教授らによる共同研究が、プベルル酸が腎臓に及ぼす影響を世界で初めてヒト細胞実験で明らかにしました。この研究成果は、プベルル酸による健康被害のメカニズム理解に寄与すると期待されています。

研究の背景



プベルル酸は自然界でアオカビから生成される化合物で、紅麹関連の食品での健康被害の一因として注目されています。2023年、日本腎臓学会からの報告では、尿細管間質性腎炎などの腎障害による健康被害が確認されています。動物実験では近位尿細管の変性や壊死も報告されていますが、ヒトの腎臓細胞に及ぼす影響についてはこれまで実証が不足していました。

研究の方法と結果



今回の研究では、日機装が製造した3D-RPTEC®というヒト腎細胞を用いて、プベルル酸の毒性を評価。研究チームは先端的な腎毒性評価法を用いて、一定のプベルル酸濃度以上で近位尿細管上皮細胞が毒性を示すことを確認しました。これにより、腎機能障害の原因となり得ることが明らかになりました。

さらに、プベルル酸の血中濃度は明らかではないものの、抗がん剤シスプラチンと同等の細胞毒性を持つことが分かったのです。また、プベルル酸が近位尿細管上皮細胞に取り込まれる経路として、有機アニオントランスポーターが関与していることも示唆されました。

今後の展望



この研究結果は、プベルル酸の腎毒性を解明する重要なステップとなります。これまでは動物実験に依存していた毒性評価が、今後は細胞実験による評価に移行する可能性が高まります。日機装と金沢大学は今後も共同研究を進め、化合物全般の腎毒性を評価する新たな手法の確立を目指しています。

3D-RPTEC®について



「3D-RPTEC」は、ヒトの初代近位尿細管上皮細胞を3次元で培養した細胞で、より腎組織に近い応答性が求められます。この新しい細胞モデルは、従来の腎細胞より優れた薬物応答性を有しており、精度の高い毒性評価の可能性を秘めています。日機装では、2023年7月からこの細胞を製造・販売しています。

まとめ



日機装と金沢大学の研究は、プベルル酸による腎毒性の解明に向けた重要な資源であり、今後の発展が非常に期待されます。環境中に存在する化合物の影響を理解する鍵ともなり得るこの研究に、今後も注目が集まることでしょう。


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会社情報

会社名
日機装株式会社
住所
東京都渋谷区恵比寿4-20-3恵比寿ガーデンプレイスタワー22階
電話番号
03-3443-3711

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