温暖化に適応した巨大サクラマス誕生
株式会社Smoltが発表した新たな技術は、養殖業界における革新を意味します。同社は、温暖化が進む環境でも安定して養殖が可能な高温耐性のサクラマスの開発に成功しました。この新しい4kgのサクラマスは、株式会社Smoltが独自に育成した高温耐性種苗と全メス三倍体技術を用いて生まれました。その結果、養殖サクラマスの常識を打破し、大型化を実現しました。
温暖化とサーモン養殖の課題
気象庁によると、日本近海の海水温は100年間で1.33℃上昇しており、これは世界平均を大きく上回るペースです。この海水温の上昇は、サーモン養殖業界にとって深刻な影響を及ぼしています。
従来、サーモン類は18℃以下の水温での育成が求められますが、海水温の上昇に伴い適合する地域が減少しつつあります。特に、夏季は高水温により養殖期間が短縮され、サーモンの健康が脅かされる危険もあります。これに対抗するため、温暖化に強い技術の開発が急務となっています。
画期的な技術の融合
株式会社Smoltが採用した技術には、高温に強いサクラマス種苗を育成するための長期育成が含まれています。全メス三倍体技術は、染色体が3セットで構成されており、通常は成長にエネルギーを使いますが、生殖を抑えることができます。これにより、サクラマスは長期間成長することができ、従来よりも遥かに大きなサイズへと成長を果たしました。
このプロセスでは、3年間かけて4kgもの重量に達する育成が可能となります。具体的には、養殖施設において20℃前後の環境を管理し、従来のサーモン養殖の限界を超えて新たな可能性を開いたのです。
技術がもたらす利点
今回の新技術による4kgサクラマスは、従来の1.5~2.0kgサイズから大きく進化した結果、より高付加価値な商品展開が期待できます。高級レストランや料理店での取り扱いが増え、国産サーモンとしての競争力も向上します。
さらに、イクラ生産との相乗効果も見込まれます。Smoltはすでに「サクラマス循環養殖」により得た技術を基に持続的なイクラ生産を目指しており、全メス三倍体技術は将来的に百パーセントメスの生産体系によるイクラの量産化にも活用可能です。
未来に向けてのコメント
代表取締役の上野賢氏は、「サクラマスは特別な養殖技術が必要な魚種ですが、そのおいしさは折り紙付きです。今後は量産化や育成期間の最適化に取り組み、世界中にサクラマスを知ってもらえるように努力していきます」と意気込みを語っています。
株式会社Smoltの事業について
株式会社Smoltは2019年に設立され、宮崎県で水産養殖業を展開しています。同社は高温耐性種苗の研究開発に注力し、温暖化対策としての技術投資を行っています。また、2021年には「STI for SDGsアワード」で理事長賞を受賞し、2023年にはForbesのアジア30 under 30に選ばれるなど、その実績は業界内外に留まらず評価されています。ウェブサイトにはさらなる情報が掲載されています。