Quemix、量子化学計算で新素材開発
2024-07-18 16:11:34

Quemix、誤り耐性量子コンピュータで新素材開発の可能性を切り開く!旭化成との共同研究で実機検証を実施

Quemix、誤り耐性量子コンピュータで新素材開発の可能性を切り開く!



量子コンピュータのアルゴリズム/ソフトウェアの研究開発を行うベンチャー企業、Quemixは、旭化成との共同研究で、新素材開発に向けた検証実験を実施しました。この実験では、誤り耐性量子コンピュータ(FTQC)用アルゴリズムを用いた量子化学計算を、クオンティニュアム社の提供するイオントラップ型量子コンピュータ上で実施しました。

今回の研究では、Quemixが開発したFTQC向けアルゴリズム「PITE®」の有効性が実証され、さらにFTQCの社会実装の可能性が大きく前進しました。

量子コンピュータが拓く新素材開発の未来



量子コンピュータは、超伝導方式、イオントラップ方式、中性原子方式など、様々な方式が提案されており、素材開発をはじめとするシミュレーション分野での計算加速に期待されています。特に、材料シミュレーション分野においては、量子コンピュータを用いた計算加速が期待されてきました。

しかし、これまで誤りのある中規模量子コンピュータ(NISQ)を用いた材料シミュレーションにおいては、代表的なアルゴリズムである変分量子固有値ソルバ(VQE)による計算の加速が困難であることが課題でした。そのため、量子コンピュータを用いた計算加速が実現できる有用なアルゴリズムとアプリケーションの探索が急務となっていました。

Quemixの「PITE®」とクオンティニュアムの「H-Series」が実現する革新



Quemixが開発した「PITE®」は、量子化学分野における基底状態を求める問題において量子加速が数学的に示されているアルゴリズムです。このアルゴリズムは、FTQC上での動作を前提として開発されました。

一方、クオンティニュアムが開発を進めるイオントラップ型量子コンピュータ「H-Series」は、低エラー率かつ全結合を特長とする、世界最高クラスの性能を誇るマシンです。このマシンは、回路途中での測定や量子ビットの再利用、量子誤り検出など、FTQCの実現に向けた重要な機能を搭載しています。さらに、リアルタイムでの量子誤り訂正を使用し、誤り耐性量子回路で2つの論理量子ビットをもつれさせることにも成功しました。

実機検証で示された「PITE®」と「H-Series」の有効性



今回の共同研究では、Quemixと旭化成は、FTQC用の量子化学計算アルゴリズムである「PITE®」を用いて、クオンティニュアムの「H-Series」上で結晶中の量子スピン欠陥の基底電子状態計算を実施しました。この実験では、実機における量子コンピュータ上の量子誤りの影響と、量子誤り低減の効果を比較・考察しました。

その結果、実機(量子誤り検出あり)での検証値は、古典忠実度0.98と極めて高い精度で測定されました。これは、実機(誤り検出なし)での検証値と比べて0.11ポイントも高い精度であり、「H-Series」の量子誤り検出機能の有用性が示されました。

未来へ向けた取り組み



今回の研究成果は、「PITE®」の有効性と「H-Series」のハードウェアとしての精度の高さを実証しただけでなく、今後のFTQCの社会実装に向けた重要な一歩となりました。今後、Quemixと旭化成は、この研究成果を基に、更なる技術革新を進め、量子コンピュータを用いた新素材開発を加速させていく予定です。

本研究の内容は以下の論文をご参照ください。


https://arxiv.org/abs/2407.10555

本研究成果は、2024年7月24日・25日に東京・六本木で開催されるQ2B 2024 TOKYO内での弊社ケーススタディセッションにて発表いたします。



Q2B 2024 Tokyo公式サイトURL:https://q2b.qcware.com/2024-conferences/tokyo/


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株式会社テラスカイ
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