2024年最低賃金引き上げがパート・アルバイトに与える影響
2024年の最低賃金引き上げが日本のパートタイムやアルバイトの市場にどのような影響を与えるのか、株式会社ナウキャストと日本労働組合総連合会(連合)の共同分析が実施されました。この調査は、最低賃金の引き上げが募集賃金や求人件数に与える具体的な影響を明らかにし、今後の政策に関する基礎資料を提供することを目的としています。
背景
政府は、2020年代内に全国平均で時給1,500円を達成する目標を掲げており、最低賃金の引き上げは重要な政策の一つとして位置づけられています。これに伴い、2024年11月には政労使会議が開催される予定であり、物価上昇を上回る賃上げの実現が求められています。政府は経済界や労働界の協力を促し、地域経済への波及効果を重視していますが、経済界からは慎重な意見も寄せられています。
分析手法
本分析では、株式会社フロッグが提供する求人データを基に「HRog賃金Now」賃金・求人動向指数が作成されており、2024年の最低賃金引き上げが東京都および各都道府県のパート・アルバイト募集の賃金や求人件数に与えた影響を調査しました。
分析結果
東京都の状況
東京都での分析によると、2023年9月に最低賃金付近の賃金で募集していた企業の割合が2023年10月には減少し、最低賃金に+50円の賃金帯へと移行する傾向が見られました。一方で、9月末時点で高い賃金帯で募集していた企業は、11月末時点でも賃金を据え置いていることが明らかになりました。
他の都道府県の動向
全体的に、ほとんどの都道府県で9月末時点で最低賃金付近で募集していた企業は、11月末までに賃金を5%〜6%引き上げる傾向がありました。特に徳島県では引き上げ幅が8%を超える高水準となっています。これは、各地域での最低賃金の引き上げが労働市場に影響を与えていることの表れと考えられます。
求人件数の変化
また、求人数においては、最低賃金付近で募集していた企業と高賃金帯での企業の間で求人件数の減少や募集停止の割合が同程度であったため、最低賃金の引き上げが求人を出し渋る原因になっているとは考えられません。これは、雇用側が賃金が上がっても求人を維持できていることを示唆しています。
結論
この分析結果により、2024年の最低賃金引き上げがパート・アルバイト市場にもたらす影響は、一定の賃金上昇と求人の安定性を形成していることが分かりました。より詳細な情報は、ナウキャスト・連合が共同で発表した分析レポートを参照してください。この調査は、今後の最低賃金政策を考える上でも重要な知見を提供しています。
関連情報
- - 分析レポート:ナウキャスト・日本労働組合総連合会共同分析レポート「2024年の最低賃金引き上げがパート・アルバイトの賃金と求人に与えた影響」
- - HRog賃金Nowのリンク
企業概要
Finatextグループ
Finatextグループは、次世代金融インフラの提供を通じて、金融サービスを再発明することを目指すフィンテック企業です。多様な事業を展開しており、ユーザー視点からの新しい金融サービス開発に取り組んでいます。
株式会社ナウキャスト
ナウキャストは、オルタナティブデータ解析の専門企業であり、ビッグデータを活用した経済指標の開発を行っています。国内外の金融機関や政府機関への業務支援を通じて、経済統計のリアルタイム化を進めています。
これらの情報は、私たちの生活や働く環境に直結する重要なテーマに触れています。最低賃金の引き上げによる影響を理解することで、私たち自身の働き方や企業の動きについて考える機会になるでしょう。