秋の気配が濃くなる中、株式会社タナベコンサルティングは全国の企業経営者や幹部を対象に「2024年度 長期ビジョン・中期経営計画に関する企業アンケート調査」の結果を発表しました。本調査からは、上場企業と非上場企業の間に顕著な差異が存在することが明らかになりました。
調査結果概要
調査によれば、上場企業の56.4%が「長期ビジョンを構築している」と回答したのに対し、非上場企業ではその割合が27.4%にとどまっています。また、上場企業の92%が「中期経営計画」を策定しているのに対し、非上場企業ではその数字が70%未満でした。これにより、上場企業がより戦略的に未来を見据えた経営を行っている状況が浮き彫りになっています。
長期ビジョンの目的
企業の未来を見越した長期ビジョン構築の目的について、回答者の約9割が「企業の将来における戦略的方向性を定める基盤とするため」としています。このことから、長期ビジョンが企業の成長の基盤として機能していることがわかります。さらに、長期ビジョンの策定によって社員のモチベーションを向上させ、収益性を改善させようという意識も高まっていることが示されています。
パーパス・MVVの見直し
興味深いことに、上場企業の45.7%が「長期ビジョンと合わせてパーパス・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定・見直しを行った」と回答しています。これは、企業の存在意義や価値観を再確認する良い機会となっていることを意味します。特に、企業のビジョンとパーパスがリンクしていることの重要性が再認識され、企業が社会にどのように貢献できるかが焦点として浮上しています。
中期経営計画の策定状況
中期経営計画については、上場企業では実に90%以上が策定しているのに対し、非上場企業では70%に満たないとされています。この結果から、多くの企業が中期的な視点での経営戦略の重要性を認識していることがわかります。
今後の展望
タナベコンサルティングでは、長期ビジョンと中期経営計画は一体として考えるべきだと提唱しています。長期的なビジョンが明確であれば、中期的な目標もそれに合わせて設定できるため、企業全体の方向性が従業員にとっても理解しやすくなります。また、次世代の幹部候補がこのプロセスに参加することで、組織全体の活性化につながる可能性も示唆されています。
結論
「デフレ経済からインフレ経済への転換期において、長期ビジョンを持つことは欠かせない」とタナベコンサルティングの専門家は指摘しています。企業が未来を見据え、しっかりとした戦略を持つことで、変化の波に柔軟に対応できるのです。この調査結果をもとに、各企業はさらなる戦略の見直しとビジョンの構築に向けた取り組みを進める必要があります。いかにして社員を巻き込み、価値を創出できるかが、今後の鍵となるでしょう。