住友ベークライトの新たな取り組み
住友ベークライト株式会社が非可食バイオマス由来原料を用いたリグニン変性フェノール樹脂の商業化に成功しました。この革新的な樹脂は、「スミタック®PL-700シリーズ」として知られ、環境に優しい製品を求める声に応える新しい選択肢となります。
背景
今日、ほとんどの化学製品の原料は化石資源に依存しています。この状況は石油の消費が増大するなかで、原材料費の高騰や資源の枯渇、さらには大量の二酸化炭素(CO2)の排出といった地球規模の課題を引き起こしています。温暖化が進むなか、バイオマスから化学品を製造するプロセスの開発は急務です。
住友ベークライトは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受け、2010年度から2019年度にわたり、非可食バイオマス由来のリグニンを活用した樹脂技術の研究に取り組んできました。この取り組みが実を結び、同社は新たな商材を提供できるようになりました。
リグニン変性フェノール樹脂の製品化
新たに発売された「スミタック®PL-700シリーズ」は、化石燃料由来のフェノールの一部をリグニンに置き換えた製品です。これにより、この樹脂が持つバイオマス成分は15%に達し、既存の接着剤と比較してカーボンフットプリントが17%も削減されています。この特徴は、特に環境に配慮した製品を求める市場ニーズに対して非常に魅力的です。
例えば、シリーズの一つである「スミタック®PL-701」は、日本有機資源協会の定める「バイオマスマーク」を取得しており、持続可能な商品としての信頼性を高めています。さらに、本製品はJAS規格にも適合しており、品質の高さが保証されています。
この樹脂は、合板や単板積層材の製造にも用いられ、今後の利用拡大が期待されます。木材を原料とする製品がカーボンニュートラルを達成するために重要な役割を果たすことを目指しています。
今後の計画
住友ベークライトは、引き続きバイオマスを活用した化学品の研究開発に取り組み、2050年のカーボンニュートラル達成に貢献するプロジェクトを推進しています。この取り組みにより、持続可能な社会の形成に向けた一歩となる製品が世に出ていくことでしょう。
地域の環境への配慮と製品の進化が融合した「スミタック®PL-700シリーズ」は、未来の社会を明るく照らす重要な材料であるといえます。住友ベークライトは、この新素材の市場での拡大を図り、環境保全に貢献していくことを目指しています。